自己脂肪組織由来幹細胞療法

自己脂肪組織由来幹細胞療法とは

ご自身の脂肪から採取した幹細胞を培養し患部に注入する再生医療です。自身の細胞を使うため安全性の高い治療法で、
従来修復が難しかった軟骨などを再生し、痛みや機能障害を改善することが期待できます。

自己脂肪組織由来幹細胞療法の作用機序

自己脂肪組織由来幹細胞療法は、患者自身の脂肪組織から採取した幹細胞を利用し、組織の修復や再生を促す再生医療の一種です。この治療法は、主に以下のメカニズムによって効果を発揮すると考えられています。

幹細胞の特性

自己複製能力

幹細胞は、自分自身と同じ能力を持つ新しい幹細胞を作り出すことができます。このプロセスにより、幹細胞のプールが維持され、組織の再生や修復が長期間にわたり可能となります。

多分化能

幹細胞は様々な種類の細胞に分化する能力(多分化能)を持っています。投与された幹細胞は、損傷した組織に移動し、その組織に必要な細胞へと分化することで、組織の修復や再生を直接的に促進します。

組織修復メカニズム

ホーミング

幹細胞は損傷部位から放出される化学物質に引き寄せられる。

分化と組織形成

幹細胞は損傷部位で特定の細胞に分化し、組織の構造や機能を修復する。

パラクライン効果

幹細胞は成長因子やサイトカインなどの様々な生理活性物質を分泌します。これらの物質は、周囲の細胞に働きかけることで、以下の効果を発揮し、間接的に組織の修復や再生を促進します。

血管新生促進

新しい血管の形成を促し、血流を改善することで、損傷組織への酸素や栄養の供給を促します。

抗炎症作用

炎症を抑制し、痛みや腫れを軽減します。

免疫調節作用

免疫システムのバランスを整え、過剰な免疫反応を抑制します。

細胞増殖促進

細胞の増殖を促進し、組織の再生を加速させます。

アポトーシス抑制

細胞死を抑制し、組織の損傷を最小限に抑えます。

自己脂肪組織由来幹細胞療法の効果は、幹細胞の特性と組織修復のメカニズムが複雑に相互作用することで発揮されると考えられています。どちらのメカニズムがどの程度寄与しているかは、疾患や症状、患者さんの状態などによって異なります。

特徴

1.修復が困難な組織の再生

自己脂肪由来の幹細胞が持つ分化能力を活かし、これまで回復が難しいとされてきた組織や臓器の修復を促進します。慢性疾患や老化による組織損傷にも、新たな可能性をもたらします。

2.接続的な効果

幹細胞が体内で放出する成長因子やサイトカインが、再生プロセスを長期的にサポート。単なる一時的な改善ではなく、持続的な機能回復と炎症の抑制が期待されます。

3.拒絶反応が少なく安全

自己の脂肪から採取した幹細胞を用いるため、免疫的な拒絶反応が起きにくく、安全性が高いのが特徴です。外科的負担も少なく、自然な治癒を引き出す治療法として注目されています。

こんな方におすすめの治療法です

変形性関節症

顎関節症

慢性疼痛

自己脂肪組織由来幹細胞療法は、変形性関節症、顎関節症、慢性疼痛など様々な疾患に対し、組織修復、炎症抑制、疼痛軽減効果が期待される再生医療です。薬物療法に不安がある方や継続的な運動療法が難しい方にもおすすめの治療となっています。

自己脂肪組織由来幹細胞(ASC)療法によるメリット・デメリット

メリット

  • 自身の細胞を使うため、重篤な副作用の心配がなく、安全に治療できる。無血清培地を使用すればさらに安全に培養が可能。
  • 脂肪の抽出、幹細胞の注入、どちらも基本的に外来治療で済むため、身体への負担が少なく、入院の必要もない。
  • AOF培地(動物由来成分を含まない培地)を使用し、動物などの血液由来の感染リスクの減少や優れた細胞増殖が期待できる。
  • 1度の脂肪採取で、複数回の再生医療の提供を可能にする中間体サービス(細胞保管サービス)もあり、患者さんのご負担を軽減できる。

デメリット

  • 治療効果、持続期間に個人差がある。
  • 自由診療のため、比較的高額な費用がかかる。
  • 脂肪抽出時に人によっては傷跡が残ることもある。

※効果には個人差があり、全ての症例に有効とは限りません。

治療の流れ

専用の器具で脂肪を採取

患者さん自身から、
専用の器具で脂肪組織20mlを採取します。

幹細胞を抽出

採取した脂肪から
幹細胞を抽出します。

幹細胞を培養

抽出した幹細胞を
200~300倍に培養します。

培養した幹細胞を注入

培養した幹細胞を
間接に注射器で注入します。

料金

培養、保管を行う会社によって料金が異なります。

自家脂肪組織由来幹細胞療法(第2種再生医療) 培養・保管:セルソース
  • 対象疾患:顎関節症治療、変形性関節症、慢性疼痛治療

顎関節(局所注射)1回目 1関節

1,290,000円(税込)

顎関節(局所注射)1回目 2関節

1,690,000円(税込)

顎関節(局所注射)2回目以降 1関節

498,000円(税込)

膝関節(局所注射)1回目 1関節

1,290,000円(税込)

膝関節(局所注射)1回目 2関節

1,690,000円(税込)

膝関節(局所注射)2回目以降 1関節

498,000円(税込)

慢性疼痛(静脈点滴)1回目

1,980,000円(税込)

慢性疼痛(静脈点滴)2回目以降

1,490,000円(税込)

1年経過後の脂肪幹細胞の保管費用(年間)

59,400円(税込)

自家脂肪組織由来幹細胞療法(第2種再生医療) 培養・保管:ロート製薬
  • 対象疾患:変形性関節症、慢性疼痛治療
  • 作製する細胞(セル)数は、治療内容等により医師と相談にて決めて参ります。
  • 用途:作製した幹細胞は局所注射、静脈点滴の両方ともご利用いただけます。
  • 治療法:お選びいただいたセル数により、複数回に分けて活用いただけます。

5,000万セル

1,650,000円(税込)

1億セル

2,530,000円(税込)

2億セル

3,630,000円(税込)

3億セル

4,290,000円(税込)

4億セル

4,620,000円(税込)

1年経過後の脂肪幹細胞の保管費用(年間)

44,000円(税込)

中間体保管料

220,000円(税込)

海外在住の方は治療費・諸経費等を含む診察料が別途かかります。
短期ビザ取得により来日された日本国外在住の方が治療を受けられる場合、表示の価格と異なります。
詳しくは、当クリニックまでお問い合わせください。