ヒト幹細胞エクソソーム療法とは
幹細胞が分泌する小さなカプセル状の物質「エクソソーム」を使った再生医療です。エクソソームには、細胞の成長や修復を促す様々な情報伝達物質が含まれており、これを体内に注入することで、損傷した組織の再生や機能改善を促します。ヒト幹細胞エクソソーム療法は、点滴や注射、塗布などの方法で投与され、体への負担が少ない治療法です。また、細胞そのものを移植するわけではないため、拒絶反応や腫瘍化のリスクも低いと考えられています。
ヒト幹細胞エクソソーム療法の作用機序
ヒト幹細胞エクソソーム療法の作用機序は、幹細胞が分泌するエクソソームによるものです。エクソソームは、細胞から分泌される直径50~150ナノメートル程度の小さなカプセル状の物質で、タンパク質、mRNA、マイクロRNAなど様々な生理活性物質を含んでいます。これらの物質を標的細胞に送り届けることで、細胞間の情報伝達を担い、組織の修復や再生、炎症抑制、免疫調節など、様々な効果を発揮します。
エクソソームの
取り込み
標的細胞は、エクソソームを細胞膜に取り込みます。これには、エクソソーム表面のタンパク質と標的細胞の受容体が結合するなど、いくつかの経路が関与していると考えられています。
生理活性物質
の放出
細胞内に取り込まれたエクソソームは、内容物を細胞質に放出します。これにより、エクソソームに含まれていた成長因子、サイトカイン、mRNA、マイクロRNAなどが標的細胞内に届けられます。
標的細胞の活性化
標的細胞内に放出された生理活性物質は、標的細胞内の様々なシグナル伝達経路に作用し、細胞の増殖や分化、炎症反応、免疫反応などを調節します。例えば、成長因子は細胞の増殖や分化を促進し、マイクロRNAは遺伝子発現を調節することで、組織の修復や再生を促進します。
ヒト幹細胞エクソソーム療法は、幹細胞そのものを移植する治療に比べて、腫瘍化のリスクや拒絶反応のリスクが低いと考えられています。また、エクソソームは細胞よりも安定性が高く、凍結保存も可能であるため、取り扱いが容易であるという利点もあります。
考えられている作用
- 抗炎症作用
- 組織修復作用
- 血管新生
- 免疫調整作用
- 細胞遊走
特徴

1.効果の持続性
エクソソームは細胞に情報伝達物質を運ぶだけでなく、その効果を持続させる機能も持ちます。エクソソームは細胞内に取り込まれた後、内容物を放出しますが、それらはすぐに分解されず、一定期間細胞内に留まり続けます。つまり、エクソソームは一時的な効果ではなく、持続的な効果を発揮します。これは、成長因子などを単独で投与するよりも長く効果が続くことを意味し、エクソソーム療法の大きな利点です。

2.高い情報伝達能力
エクソソームは、細胞から分泌される小さなカプセルのようなもので、中には成長因子やサイトカイン、マイクロRNAなど、細胞の働きを調節する様々な物質が入っています。まるで細胞からのメッセージを運ぶ「宅配便」のように、エクソソームはこれらの物質を他の細胞に届けます。しかも、ただの宅配便ではなく、宛先が明確に書かれた「速達便」のようなもの。必要な細胞にピンポイントでメッセージを届けることができるため、高い情報伝達能力を持っていると言えます。このようにして、エクソソームは離れた細胞にも影響を与え、組織の修復や再生、炎症の抑制などを促すことができます。

3.ピンポイントな効果
エクソソームには様々な種類があり、それぞれ含んでいる生理活性物質の種類や量が異なります。エクソソームを採取する幹細胞の種類を適切に選択することで、特定の生理活性物質を多く含むエクソソームを得ることができ、皮膚の再生や炎症抑制など、目的の効果に特化したピンポイントな治療が可能になります。これは様々な成分が混在する培養上清液にはない利点です。
種類
幹細胞エクソソームには採取した部位によっていくつかの種類がありますが、脂肪由来、歯髄由来、臍帯血由来、骨髄由来の4種類が中心です。当院では症状や目的にあわせて、脂肪由来と歯髄由来を使い分けています。
脂肪由来
脂肪由来幹細胞は、脂肪組織中に含まれる体性幹細胞です。多くは脂肪採取によって抽出された脂肪を使用します。
歯髄由来
歯髄由来幹細胞の再生因子は多面的に有効性が高く優れた増殖能力を持っており、中でも乳歯歯髄由来幹細胞(子供の乳歯の細胞)は最も強い再生力を持つといわれています。
当院では、日本人ドナーに限定した乳歯歯髄幹細胞を採取・培養した過程で得られる高濃度のエクソソームを使用しています。
臍帯血由来
臍帯血由来幹細胞は、出産時に採取される臍帯血に含まれる幹細胞です。臍帯血は胎児の成長に不可欠な栄養素を豊富に含んでいますが、細胞が若いゆえに、移植後の定着が遅いというデータも存在します。骨髄由来幹細胞と同様に、主に機能障害や白血病などの血液疾患の治療に用いられています。
骨髄由来
骨髄由来幹細胞は、ヒトの骨髄から採取されます。主に脊髄損傷による神経症状や機能障害の改善、あるいは血液疾患の治療に用いられます。しかし、採取の難しさや痛みを伴うことから、2019年2月には厚生労働省から使用に関するガイドラインが発表されています。
http://jns.umin.ac.jp/jns_wp/wp-content/uploads/2019/03/1-1.pdf
ヒト幹細胞培養上清液治療との違い
ヒト幹細胞培養上清液治療 | ヒト幹細胞エクソソーム療法 | |
---|---|---|
費用 | エクソソームより安い | 比較的高い |
治療目的 | 広範囲への効果、全体的な改善 | ピンポイントで特定の症状を改善 より高い効果を求める場合 |
症状の重症度 | 軽度~中度 | 中度から重度 |
費用を抑えたい、広範囲への効果を期待したい場合は、培養上清液治療が適している可能性があります。一方、ピンポイントの効果を期待したい、より高い効果を求めたい、費用は気にしない場合は、エクソソーム療法が適している可能性があります。しかし、症状や体質など個人により適切な治療は異なるため、専門医と相談し、ご自身にあった最適な治療を選ぶことが重要です。当院では、そういった相談も承っておりますので、お気軽にご相談ください。
こんな方におすすめの治療法です

加齢による膝の痛みやスポーツなどによる筋肉や腱の痛みが通常の治療で改善されない方

シミ・小ジワ・ハリ・ニキビ跡などお肌に悩みがある方

体調不調を改善したい方

薄毛、脱毛を改善したい方
ヒト幹細胞エクソソーム療法によるメリット・デメリット
メリット
- 脂肪幹細胞から分泌される情報伝達物質が抗炎症・抗酸化作用、組織の修復作用を促すことから、脳卒中・肝硬変・認知症・関節疾患・慢性疼痛といった様々な疾患の症状改善やエイジングケア効果が期待される。
- ダーマペンと併用する事で、たるみやシワ・シミの改善などの美容効果が期待できる。
- メソガンとの併用でAGA・薄毛治療効果が期待できる。
デメリット
- 注入部位の一時的な痛み、皮下出血の可能性やアレルギー反応がでる場合がある。
- 治療後2〜3日程度は体の怠さが出る可能性があります。
- 1週間ほど吹き出物が出やすくなったり、疾患がある方は症状が不安定になったりする方がいる。
※効果には個人差があり、全ての症例に有効とは限りません。
治療の流れ
カウンセリング・診察
お悩みや体調に合わせた治療設計のために医師や看護師による丁寧なカウンセリングと診察を通じて、患者さま一人ひとりの症状や目的に応じた最適な治療方針をご提案します。
治療内容のご説明・同意
ご納得いただいたうえで安心して治療を受けていただけます。
ヒト幹細胞エクソソーム療法の仕組みや効果、安全性について詳しくご説明し、同意をいただいてから治療に進みます。ご不明な点があれば何でもご相談ください。
ヒト幹細胞培養上清液の投与
無痛に近い施術で自然治癒力をサポート。
点滴や局所注射など、症状に応じた方法でヒト幹細胞培養上清液を体内に届けます。身体への負担が少なく、短時間で施術が完了します。
アフターケア・経過観察
治療後も継続してサポート。
治療効果の確認と安全のため、必要に応じて経過観察を行います。再治療や生活習慣に関するアドバイスも含め、継続的なフォローアップを大切にしています。
料金
1バイアル
99,000円(税込)
2バイアル
176,000円(税込)
3バイアル
234,300円(税込)
4バイアル
277,200円(税込)
6バイアル
363,000円(税込)
定期血液検査
5,500円(税込)
1バイアル
119,000円(税込)
2バイアル
196,000円(税込)
3バイアル
254,300円(税込)
4バイアル
297,200円(税込)
6バイアル
383,000円(税込)
定期血液検査
5,500円(税込)
海外在住の方は治療費・諸経費等を含む診察料が別途かかります。
短期ビザ取得により来日された日本国外在住の方が治療を受けられる場合、表示の価格と異なります。
詳しくは、当クリニックまでお問い合わせください。