矯正歯科・顎変形症の用語集
GLOSSARY
診断・検査・画像診断(1/2)に関する用語120語を掲載しています。用語集の全体は矯正歯科・顎変形症の用語集をご覧ください。
AB平面角
上顎と下顎それぞれの前方基底部の計測点(A点・B点)を結ぶ線が、顔面平面に対してなす角である。上下の顎の前後的な関係を示す指標の一つとして分析に用いられる。
ANB角
上あご(A点)と下あご(B点)の前後的な位置関係を示す角度。骨格性の上顎前突・下顎前突の傾向を評価する指標のひとつ。
ANS・PNS(前鼻棘・後鼻棘)
上顎骨の前端(鼻のすぐ下)と後端にあたる骨の突起である。両者を結ぶ線は口蓋平面と呼ばれ、上顎の傾きや位置の評価に用いる。
A点・B点
セファログラム上で、上顎前歯部の骨が最もへこんだ点をA点、下顎前歯部の同様の点をB点という。上下顎の前後的な位置関係を評価する基準点である。
CBCT(歯科用コーンビームCT)
歯や顎骨を三次元的に撮影するCT。骨の厚み、埋伏歯の位置、顎関節や気道の評価などに用いる。
COGS分析(顎矯正手術のための頭部エックス線規格写真分析)
顎の手術を伴う治療の計画立案を目的に考案された分析法で、上顎・下顎・歯・軟組織の位置を水平と垂直の座標に整理して評価する。骨の移動量を具体的に検討する際に用いられる。
Eライン(エステティックライン)
鼻尖とオトガイ先端を結んだ線で、側貌における口唇の位置の目安として用いる。望ましい位置は年齢・性別・骨格・民族的背景や本人の希望によって異なり、この線だけで評価が決まるものではない。
FH平面(フランクフルト平面)
眼窩下縁と外耳道上縁を結ぶ、頭部の水平的な基準平面である。セファロ計測で角度や傾きを測る際の基準として用いる。
FMA(下顎下縁平面角)
下あごの傾きを示す角度。数値が大きいと垂直的に長い骨格傾向、小さいと短い傾向を示す。
FMIA(下顎中切歯・フランクフルト平面角)
水平基準面であるフランクフルト平面と、下顎中切歯の長軸がなす角である。下顎前歯の傾きを顔面の基準面に対して評価する指標として用いられる。
IMPA(下顎中切歯歯軸角)
下顎中切歯の歯軸と下顎下縁平面がつくる角度である。下顎前歯の傾きを表し、前歯を動かせる範囲を検討する際の情報の一つとなる。
MRI(磁気共鳴画像検査)
磁気を利用して軟組織を画像化する検査である。顎関節の関節円板や咀嚼筋など、エックス線では写りにくい組織の評価に用いることがある。
PTM点(翼上顎裂点)
翼上顎裂と呼ばれる涙滴状の透過像の輪郭上に取る計測点である。上顎の後方の位置や臼歯の前後的な位置を測る基準として用いられる。
SNA角/SNB角
頭蓋底に対する上あご(SNA)・下あご(SNB)の前後的位置を示す角度。
SN平面
セファログラム上で、頭蓋底中央のS点と鼻根部のN点を結んだ基準線である。上下顎の位置や前歯の傾きを評価する基準として用いる。
S点(セラ)/N点(ナジオン)
S点は頭蓋底中央のくぼみ(トルコ鞍)の中心、N点は前頭骨と鼻骨の境目にあたる点である。いずれも頭蓋の基準点であり、成長や治療前後を比較する起点となる。
T1強調画像
MRI(磁気共鳴画像)の撮像法の一つで、組織の形態や脂肪の分布を把握しやすい。顎関節では骨髄の状態や関節円板の位置の評価に用いられる。
U1-SN角(上顎中切歯歯軸傾斜角)
上顎中切歯の歯軸がSN平面に対してどれだけ傾いているかを示す角度である。前歯が前方に傾いているか後方に倒れているかを評価するために用いる。
VTO(視覚的治療目標)
セファログラムの線図上で、歯や顎を動かした後の状態を予測して描く手法である。方針の検討や見通しの共有に用いる資料であり、実際の変化には個人差がある。
Wits appraisal(ウィッツ アプレイザル)
A点とB点から咬合平面に下ろした垂線の位置関係により、上下顎の前後的なずれを評価する方法である。頭蓋底の基準線を用いる分析を補う目的で併用されることが多い。
Y軸(成長軸、Y-axis)
脳下垂体窩の中心とグナチオンを結ぶ線で、下顎の成長方向を表す指標として用いられる。水平基準面とのなす角(Y軸角)が大きいほど、下方向への傾向を示すとされる。
しきい線量
これを下回れば確定的影響が現れないとされる線量の境目である。影響の種類や臓器ごとに異なる。
アーティキュラーレ(Ar、関節点)
側面像で頭蓋底の下縁と下顎枝の後縁が交わって見える位置に取る計測点である。顎関節付近の位置の目安として、下顎の大きさや角度の計測に用いられる。
イメージングプレート(IP)
輝尽性蛍光体を用いた、繰り返し使える板状の受像体である。撮影後に読取装置にかけてデジタル画像に変換する。
イヤーロッド(耳桿)
セファロスタットに備わり、左右の外耳道に軽く差し込んで頭部の位置を固定する棒状の部品である。左右の高さをそろえ、撮影の再現性を保つ役割をもつ。
インフラデンターレ(Id)
下顎中切歯の唇側にある歯槽骨の縁で、最も上方にあたる計測点である。下顎前歯部の歯槽部の位置を示す指標として用いられる。
ウィンドウ幅・ウィンドウレベル
断層画像を表示する際の濃度の範囲(幅)と、その中心となる値(レベル)の設定である。骨を見る場合と軟組織を見る場合とで切り替える。
エックス線管
真空管の中で加速した電子を金属の標的に衝突させ、エックス線を発生させる装置である。撮影装置の中心となる部品である。
オクルーザルカント(咬合平面の傾斜)
正面から見たときに、上下の歯がかみ合う面が左右いずれかに傾いている状態である。規格写真・正面セファロ・CBCT(歯科用コーンビームCT)などを合わせて確認する。
オトガイ唇溝
下唇とあご先の間にできるくぼみで、その深さや形が横顔の輪郭に関わる。下顎の位置や下顎前歯の傾きによって変化しうる。
オルビターレ(Or、眼窩点)
眼窩(眼球が入る骨のくぼみ)の下縁で最も低い位置にあたる計測点である。ポリオンと結んで水平基準面を設定する際に用いる。
オーバージェット(水平被蓋)
上下の前歯の水平方向の重なり(ずれ)の大きさを示す計測値である。上の前歯が前方に位置するほど大きくなり、下の前歯が前に出ている場合はマイナスで表す。
オーバーバイト(垂直被蓋)
上下の前歯が垂直方向にどれだけ重なっているかを示す計測値である。重なりが深い場合も、接触せず隙間が生じる場合もあり、かみ合わせを評価する基本的な指標の一つである。
グナチオン(Gn)
あご先の最前方点(ポゴニオン)と最下点(メントン)の中間にあたる計測点である。下顎の前下方の位置を代表する点として、成長方向の評価などに用いられる。
グレー値(GV)
コーンビーム方式の三次元画像で、各画素に与えられる濃淡の数値である。装置や撮影条件によって変動するため、骨密度の絶対値としては扱わない。
コリメーション
エックス線の照射範囲を、診断に必要な最小限の広さに絞ることである。不要な被曝と散乱線を減らし、画像の質の向上にもつながる。
コンディリオン(Co、下顎頭点)
下顎頭の最も上後方にあたる計測点である。上顎や下顎の長さ(有効長)を測る際の起点として用いられる。
コントラスト分解能
エックス線の吸収差がわずかな組織どうしを区別できる性能である。軟組織や骨の内部構造の識別に影響する。
コンプトン散乱
エックス線が電子とぶつかり、エネルギーの一部を渡して進む方向を変える現象である。診断で用いるエネルギー領域では散乱線の主な発生源となる。
ゴニオン(Go、下顎角点)
下顎骨の後下方の角にあたる計測点で、下顎枝の後縁と下顎下縁の接線が交わる位置に取る。下顎の形態や角度を計測する際の基準となる。
ゴースト像
回転断層撮影で、回転の中心よりも線源側にある高吸収体が、反対側に拡大され不鮮明な虚像として写り込む現象である。ピアスや取り外していない金属製品などが原因となる。
サドルアングル(頭蓋底角)
前方の頭蓋底と後方の頭蓋底がなす角(N-S-Ar)で、頭蓋底の屈曲の程度を表す。この角度の違いは、下顎が位置する前後的な位置に影響しうると考えられている。
サブナザーレ(Sn、鼻下点)
鼻の下端と上唇が接する部分に取る軟組織上の計測点である。鼻や上唇の傾きなど、横顔の軟組織分析の基準として用いられる。
サージカルスプリント
手術中に上下のあごを計画した位置関係へ導くための装置。従来は模型上で製作し、近年は三次元データから設計・製作されることがある。
ジャラバック分析(Jarabak analysis)
顔面の後方の高さと前方の高さの比などから、下顎が前方に回転しやすいか後方に回転しやすいかの傾向を読み取る分析法である。垂直的な形態の把握に用いられる。
スタイナー分析(Steiner法)
頭蓋底の基準面を出発点として、上下の顎の前後関係や前歯の位置を一連の項目にまとめた分析法である。治療目標を検討する際の枠組みとしても用いられてきた。
スピーの彎曲(カーブ・オブ・スピー)
下顎歯列を横から見たときに描かれる前後的なカーブである。カーブが深いと前歯のかみ合わせが深くなりやすく、必要な歯の移動量を検討する目安となる。
セファログラム(頭部エックス線規格写真)
一定の規格で撮影する頭部のエックス線写真。骨格の前後・垂直的な関係や歯の傾きを数値で評価でき、矯正歯科の診断と治療前後の比較に用いる。
セファロスタット(頭部固定装置)
頭部エックス線規格写真を撮影する際に、頭の位置を一定に保つための装置である。撮影条件をそろえることで、時期の異なる画像どうしを比較しやすくする。
セファロ分析
セファログラム上の基準点を結んで角度や距離を計測し、骨格型や歯の位置を評価する方法。
ダウンズ分析(Down法)
骨格と歯の傾きを表す複数の角度を組み合わせて、かみ合わせの型を把握する古典的な分析法である。顔面角やY軸角など、現在も用いられる項目を含む。
ツイード三角(Tweed分析)
フランクフルト平面、下顎下縁平面、下顎中切歯の長軸がつくる三角形で評価する方法である。前歯の傾きをどの程度整えるかを検討する際の目安として用いられてきた。
デジタル模型
口腔内スキャナーや石膏模型のスキャンによって得られる歯列の三次元データである。画面上での計測やシミュレーションができ、保管や共有がしやすい。
トレース(描記)
頭部エックス線規格写真から、骨・歯・軟組織の輪郭と計測点を写し取り、線図として描き起こす作業である。近年は専用ソフト上でデジタルに行うことも多い。
ナジオン垂線
前頭鼻骨縫合部(ナジオン)から、フランクフルト平面に対して垂直に下ろした基準線である。上下の顎の前後的な位置を横顔と対応づけて把握する分析で用いられる。
バジオン(Ba)
大後頭孔(脊髄が通る頭蓋底の孔)の前縁中央にあたる計測点である。頭蓋底の後方の位置を示し、頭蓋底の角度や顔面軸の評価に用いられる。
パノラマエックス線写真
上下の歯列と顎骨全体を一枚に写すエックス線写真。歯の本数、埋伏歯、歯根や骨の状態の概観を把握する。
ビョークのサム(顎角の総和)
サドルアングル・関節角・下顎角の三つを合計した値で、顔面の垂直的な形態の傾向を把握する指標である。合計が大きいほど、下顔面が縦に長い傾向を示すとされる。
ビームハードニング
エックス線が物質を通る過程で低エネルギー成分が先に吸収され、線質が硬くなる現象である。金属や厚い骨の周囲に暗い帯や偽の像を生じることがある。
フィルムホルダー
口内法撮影でセンサーやフィルムを口腔内に保持し、エックス線の入射方向を定める器具である。指で押さえる必要がなくなり、撮り直しを減らすことにもつながる。
フェイスボウトランスファー
上顎と頭蓋の位置関係を記録し、模型を咬合器に取り付ける際に再現するための手技である。かみ合わせを立体的に評価する目的で行う。
フラットパネルディテクタ(FPD)
平面状に受光素子を並べたデジタルの受像装置である。感度が高く、比較的少ない線量で画像を得やすいとされる。
ブラックトライアングル
歯と歯の間の歯ぐきが下がることで生じる三角形の隙間。
プロファイログラム
セファログラムのトレースから、顔の輪郭と前歯の位置だけを線図として抜き出したものである。治療前後の比較や平均値との対比を視覚的に行いやすくする。
プロフィログラム
標準値をもとに描いた平均的な横顔の線図に、実際の計測結果を重ねて差を視覚的に示した図である。数値だけでは分かりにくい特徴を把握しやすくする。
ボルトン分析
上下の歯冠幅径の合計を比較し、上下の歯の大きさの釣り合いを評価する分析である。最終的なかみ合わせの仕上がりに関わる要素の一つとして確認する。
ポゴニオン(Pog)
セファログラム上で、オトガイ部の骨が最も前方に位置する点である。横顔の突出感やあご先の位置を数値で評価する際の基準点として用いる。
ポリオン(Po、耳点)
外耳道の最上縁にあたる計測点である。オルビターレとともに、水平の基準面(フランクフルト平面)を決める際に用いられる。
ポリゴン表
複数の計測項目の値を、標準値からの偏りとして並べ、折れ線で結んで示す表である。どの項目が平均から離れているかを把握しやすい。
マクナマラ分析(McNamara法)
ナジオン垂線と有効長の計測を組み合わせ、上顎と下顎それぞれの位置と大きさを分けて評価する分析法である。成長期の評価や、手術を伴う治療計画の検討にも用いられる。
マルチスライスCT(MDCT)
検出器を複数列そなえ、一度に多数の断面を収集する医科用のCTである。広い範囲や軟組織の評価に適し、目的に応じて歯科用の三次元撮影と使い分ける。
メタリックインプラント法
顎の骨に微小な金属標識を埋め込み、時期の異なる画像で骨そのものの成長や移動を追った研究手法である。この手法による研究によって、顎の成長様式の理解が進んだ。
メントン(Me、オトガイ下点)
下顎骨のあご先の部分で最も下方にあたる計測点である。顔面の高さや下顎下縁の傾きを測る際に用いられる。
モデルサージェリー
石膏模型上で顎の骨を切り分け、手術後のかみ合わせを再現する作業である。手術用スプリントの作製や術式の検討に用いられ、デジタル計画と併用されることもある。
モーションアーチファクト(体動アーチファクト)
撮影中に患者が動くことで生じる像のぶれや二重像である。撮影時間が長い三次元撮影では影響が出やすい。
リケッツ分析(Ricketts法)
顔面軸や下顎の位置など多数の項目を用い、形態の評価と成長に伴う変化の見通しを組み合わせて考える分析法である。項目数が多いため、要約した版が用いられることもある。
三次元顔面スキャン
顔の表面形態を三次元データとして取得する方法。骨格データと重ね合わせ、軟組織を含めた評価に用いる。
上下中切歯歯軸間角
上顎中切歯と下顎中切歯の長軸がなす角で、前歯どうしの傾きの関係を表す。角度が小さいほど、前歯が前方に傾いている傾向を示す。
上下顎差(マキシロマンディブラー・ディファレンシャル)
下顎有効長から上顎有効長を差し引いた値で、上下の顎の大きさの釣り合いを表す指標である。成長に伴って変化するため、経過を追って評価することが多い。
上顎中切歯露出量
安静時や笑ったときに、上唇の下から上顎中切歯が見える量である。上顎の垂直的な位置を検討する際の情報の一つとなる。
上顎有効長(Co-A)
下顎頭点から上顎前方基底部の計測点(A点)までの距離で、上顎の大きさの目安として用いられる。単独ではなく、下顎の長さと組み合わせて評価する。
下顎下縁平面(マンディブラープレーン)
下顎骨の下縁に沿って引く基準線である。他の基準線との角度から、下顎の傾きや顔面の縦方向の骨格傾向を把握する手がかりとする。
下顎有効長(Co-Gn)
下顎頭点からグナチオンまでの距離で、下顎の大きさの目安として用いられる。年齢や性別による差が大きいため、標準値と照らして解釈する。
下顎管(かがくかん)
下顎骨の内部を前方へ走る管で、下歯槽神経と血管が通る。骨切りや歯の移動を計画する際は、CBCT(歯科用コーンビームCT)などで走行を確認する。
下顎角(ゴニアルアングル)
下顎骨の体部と下顎枝がつくる、いわゆる「えら」にあたる部分の角度である。角度の大小は顔の輪郭や下顎の成長方向、縦方向の骨格傾向と関連することがある。
中心位(ちゅうしんい)
下顎頭が関節窩内で生理的に安定した位置にあるときの、上下顎の位置関係を指す。咬頭嵌合位とのずれの有無は、機能的な問題の把握や外科的矯正治療の診断で確認される。
予測トレース
治療や手術によって歯・顎・横顔がどのように変化しうるかを、描記図の上で動かして示す作業である。あくまで計画検討のための目安であり、実際の変化には個人差がある。
二等分法
口内法エックス線撮影で、歯軸とセンサー面がつくる角の二等分線に対して垂直にエックス線を入射させる撮影法である。像の長さのゆがみを抑える目的で用いる。
信号対雑音比(SNR)
本来得たい信号の大きさとノイズの大きさの比である。値が大きいほど、診断に必要な情報を読み取りやすい。
個人線量計
放射線を扱う従事者が身につけ、受けた線量を測定・記録するための器具である。ガラスバッジや電子式線量計などがあり、定期的に読み取って管理する。
偏心投影法(クラークの法則)
エックス線の入射方向を水平または垂直にずらして2枚撮影し、像のずれ方から対象が頬側にあるか舌側にあるかを推定する方法である。埋伏した歯の位置把握などに用いられる。
偶発所見
本来の検査目的とは別に、撮影範囲の中で偶然見つかる所見である。三次元撮影は撮影範囲が広いため、副鼻腔や頸部などの所見が見つかることがある。
光電効果
エックス線が原子内の電子にすべてのエネルギーを与えて吸収される現象である。原子番号の大きい物質ほど起こりやすく、骨と軟組織の濃淡の差を生む。
入射表面線量
エックス線が入っていく皮膚表面の位置で測った線量である。撮影条件の比較や患者被曝の評価に用いられる。
公衆被曝
医療被曝・職業被曝以外に、一般の人々が受ける被曝である。医療施設では、周囲に漏れる線量が法令の基準内に収まるよう遮蔽が設計される。
制動エックス線
高速の電子が標的の原子核の近くで急に減速するときに発生する、連続したエネルギー分布をもつエックス線である。診断に用いるエックス線の大部分を占める。
前頭蓋底
頭蓋の前方の底部を指し、側面像では脳下垂体窩の中心(S)と前頭鼻骨縫合部(N)を結ぶ線で代表される。他の部位より早い時期に成長がほぼ終わるとされ、経時的な比較の基準として使われることが多い。
医療被曝
患者本人が診断や治療のために受ける被曝である。本人に診療上の利益が及ぶため線量限度は設けられておらず、正当化と最適化によって管理される。
半価層
エックス線の強さを半分に減らすために必要な物質の厚さである。エックス線の透過力(線質)を表す指標として用いられる。
半導体センサー(CCD/CMOS)
エックス線を電気信号に変換し、撮影直後に画像を表示できる固体の受像素子である。口内法撮影で広く用いられている。
口蓋平面
硬口蓋の前端(前鼻棘)と後端(後鼻棘)を結んだ基準面である。上顎骨の前後的な傾きや、上顎に対する歯の位置を評価する際の基準となる。
吸収線量(グレイ・Gy)
物質が放射線から受け取ったエネルギーを、単位質量あたりで表した量である。単位はグレイ(Gy)で、被曝を評価するときの基本となる物理量である。
咬合平面(オクルーザルプレーン)
上下の歯がかみ合う面を一つの平面として表したものである。前後・左右の傾きは、あごの位置や顔貌の見え方、歯を動かす方向の検討に関わる。
咬合検査
上下の歯の接触状態や咬み合わせのバランスを調べる検査。
咬翼法(バイトウィング撮影)
上下の歯を咬み合わせた状態で、上下の歯冠部と歯槽骨頂を1枚に写す口内法撮影である。隣接面のむし歯や歯槽骨の高さの評価に用いる。
咬頭嵌合位
上下の歯の咬頭と窩が最もよく咬み合ったときの下顎の位置である。ここで安定した接触が得られているかは、治療後の状態を評価する指標の一つとなる。
回転断層撮影
エックス線管と受像器が被写体の周囲を回転しながら、特定の層だけを鮮明に写す撮影原理である。顎全体を1枚に展開して記録するパノラマエックス線撮影に応用されている。
安定基準構造
成長や治療による変化が比較的少なく、時期の異なる画像を重ね合わせる際の目印にできる骨の構造である。前方の頭蓋底や下顎骨の一部などが用いられる。
平行法
歯軸とセンサーを平行に保ち、それに垂直にエックス線を入射させる口内法撮影である。専用の保持具を用い、ゆがみの少ない像が得られる。
幾何学的不鋭
焦点の大きさや距離の条件によって像の輪郭がぼける現象である。焦点を小さくし、被写体と受像面を近づけることで軽減できる。
思春期成長スパート
思春期に、身長や顎骨の成長速度が一時的に高まる時期である。時期や程度には個人差があり、顎の成長を利用する治療の開始時期や装置の選択を検討する際に考慮される。
手根骨エックス線写真
手首から手指にかけての骨を撮影し、骨の成熟の進み具合を評価するための画像検査である。成長のピークの時期を推定する参考情報として用いられることがある。
拡大率(撮影倍率)
エックス線撮影で、対象と検出器の距離の関係により像が実物よりわずかに大きく写る、その比率である。距離を計測する際は、この倍率を考慮して補正する。
撮影プロトコル
検査の目的に応じてあらかじめ定めておく、撮影条件・撮影範囲・体位などの手順である。標準化により画質のばらつきと不要な被曝を抑えやすくなる。
放射線加重係数
放射線の種類によって人体への影響の大きさが異なることを補正するための係数である。吸収線量にこの係数を掛けて等価線量を求める。
放射線感受性
細胞や組織が放射線の影響を受けやすい度合いを指す。一般に細胞分裂が活発な組織ほど高く、小児は成人より高いとされる。
放射線診療従事者
業務として放射線を扱い、被曝管理の対象となる医療従事者である。個人線量計の装着、定期的な健康診断、教育訓練が求められる。
放射線防護の三原則
被曝を減らすための基本的な考え方であり、被曝する時間を短くする、線源から距離をとる、遮蔽物を用いる、の三つを指す。
散乱線
被写体や周囲の物質に当たって方向を変えたエックス線である。画像のかぶりの原因となり、術者や介助者の被曝にも関係する。
断層域(イメージレイヤー)
回転断層撮影で像が鮮明に写る、あらかじめ定められた立体的な層である。患者の位置づけがこの層からずれると、像がぼけたり幅が変わったりする。
