矯正歯科・顎変形症の用語集
GLOSSARY
診断・検査・画像診断(2/2)に関する用語57語を掲載しています。用語集の全体は矯正歯科・顎変形症の用語集をご覧ください。
標準値(ノルム)
年齢・性別・集団ごとに集められた計測値の平均と、そのばらつきを示す基準の値である。個人差があるため、標準値から外れていることが直ちに問題を意味するわけではなく、判断は歯科医師が総合的に行う。
模型分析
歯列模型を用いて歯の大きさ、あごの幅、必要なスペース量などを計測する診断方法。
機能性シフト(機能的偏位)
早期接触を避けるように、閉口の途中で下あごが前方や側方へずれる現象である。これにより生じる逆のかみ合わせを機能性反対咬合と呼び、骨格そのもののずれとは区別して評価する。
正中矢状基準線
正面から撮影した頭部エックス線規格写真において、顔面の左右を分ける目安として引く縦の基準線である。左右のずれの程度を数値として把握する際の基準となる。
正当化
検査による診断上の利益が被曝による不利益を上回ると判断できる場合に限って実施するという、放射線防護の原則である。検査の要否は歯科医師・医師が判断する。
正面頭部エックス線規格写真(正面セファロ)
正面方向から一定の規格で撮影する頭部エックス線写真である。左右の骨格のバランスや傾き、正中の位置関係の評価に用いる。
気道体積解析
CBCT(歯科用コーンビームCT)などの三次元データから、上気道の広さや体積を計測する評価である。参考情報であり、これだけで睡眠中の病態を判断するものではない。
焦点-受像面間距離
エックス線が発生する点(焦点)から、センサーやフィルムまでの距離である。長いほど像のゆがみやぼけは小さくなる一方、同じ濃度を得るために必要な線量は増える。
照射録
診療放射線技師が照射を行った際に、対象者・装置・照射条件などを記載して作成する法定の記録である。線量の把握や撮影内容の確認の根拠となる。
熱成形(サーモフォーミング)
加熱して軟化させた樹脂シートを歯列模型に圧接し、装置の形に成形する製作方法である。加圧式と吸引式がある。
特性エックス線
標的原子の内側の電子がはじき出され、外側の電子がその空席に移る際に放出されるエックス線である。元素ごとに決まったエネルギーをもつ。
甲状腺防護カラー
首に巻いて甲状腺への散乱線を減らす目的で用いる防護具である。甲状腺は放射線感受性が比較的高いとされ、必要に応じて使用される。
画像ノイズ
画像に生じる細かな粒状のばらつきである。線量を減らすほど増える傾向があり、画質と被曝の兼ね合いを考える要素となる。
画像診断報告書
読影の結果として、所見や考えられる病態、追加検査の要否などを記載した文書である。診療録の一部として保存され、担当医と共有される。
直線しきい値なしモデル(LNTモデル)
低い線量域でも被曝量に比例してリスクがわずかに増えると仮定する、放射線防護上の考え方である。直接の証明が難しい低線量域を慎重側に見積もるための前提として用いられる。
矩形照射野(くけいしょうしゃや)
口内法撮影で、円形ではなくセンサーの形に合わせた四角形に照射範囲を絞る方法である。円形の照射に比べて患者が受ける線量を抑えられるとされる。
確定的影響
ある線量(しきい線量)を超えて初めて現れ、線量が増すほど程度が重くなる影響である。皮膚の紅斑や脱毛などが該当し、歯科の通常の撮影で用いる線量はこれらのしきい線量を大きく下回る。
確率的影響
しきい線量がないと仮定し、線量が増えるほど発生する確率が高まると考えられている影響である。発がんや遺伝的影響が該当する。
空気カーマ
空気に放射線が与えたエネルギーを単位質量あたりで表した量である。装置から出るエックス線の量を測る基準として用いられる。
空間分解能
画像上でどれだけ細かい構造を見分けられるかを示す性能である。歯の微細な構造や骨梁の描出に関係する。
等価線量(シーベルト・Sv)
吸収線量に放射線の種類ごとの影響の違いを加味した、臓器・組織ごとの被曝量である。単位はシーベルト(Sv)で表す。
管理区域
一定以上の放射線が及ぶおそれのある区域として、法令に基づき区画・標識され、立入りが管理される場所である。歯科のエックス線撮影室も該当する。
管電圧
エックス線管にかける電圧で、単位はキロボルト(kV)である。高いほど透過力の強いエックス線が発生し、画像の濃淡の付き方にも影響する。
管電流
エックス線管に流れる電流で、単位はミリアンペア(mA)である。主に発生するエックス線の量を左右する。
管電流時間積(mAs)
管電流と照射時間を掛け合わせた値である。発生するエックス線の総量の目安となり、被曝線量に直接影響する。
終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)
睡眠中の呼吸・血中酸素・脳波などを一晩かけて記録する検査である。睡眠時の呼吸の問題が疑われる場合に、医科の医療機関で行われる。
組織加重係数
臓器や組織ごとに放射線の影響の受けやすさが異なることを重みづけした係数である。全身の合計が1になるように定められている。
総ろ過(アルミニウム当量)
画像にほとんど寄与せず皮膚に吸収されるだけの低エネルギー成分を取り除くために設けた、ろ過材の合計である。アルミニウムの厚さに換算して表し、最低値が法令で定められている。
線量管理
医療被曝の線量を記録して把握し、診断参考レベルなどと比較しながら撮影条件を見直していく一連の取り組みである。装置の種類によっては、法令で実施が求められている。
線量限度
職業被曝や公衆被曝について法令で定められた被曝量の上限である。患者本人が診療のために受ける医療被曝には適用されない。
職業被曝
業務に伴って従事者が受ける被曝である。法令で線量限度が定められ、個人線量計などで継続的に管理される。
胎児被曝
妊娠中の女性が撮影を受けた際に、胎児が受ける被曝である。妊娠している、または可能性がある場合は事前に申し出てもらい、撮影の要否や防護の方法を検討する。
自然放射線
宇宙線や大地、食物、空気中のラドンなどから日常的に受けている放射線である。日本では年間あたり数ミリシーベルト程度と報告されている。
自然頭位(NHP:ナチュラル・ヘッド・ポジション)
力を抜いてまっすぐ前方を見たときの、その人にとって自然な頭の姿勢である。骨の基準線ではなく日常の見え方に近い姿勢で評価できるため、横顔の評価に用いられることがある。
規格写真(顔面写真・口腔内写真)
距離・角度・照明などの条件をそろえて撮影する記録用の写真である。治療前後や経過の変化を、同じ条件で比較するために用いる。
計測誤差(メソッドエラー)
計測点の読み取りや描記のわずかなずれによって生じる、測定値のばらつきである。分析結果を読む際は、この誤差の幅を踏まえて解釈する必要がある。
診断参考レベル(DRL)
標準的な体格の患者を撮影した場合の線量の目安として、検査の種類ごとに設定される値である。これを大きく超える場合は撮影条件を見直す契機とする指標であり、超えてはならない上限ではない。
診療放射線技師
医師・歯科医師の指示のもとで、放射線を人体に照射する業務を担う国家資格者である。撮影の実施のほか、装置の管理や被曝低減の取り組みにも関わる。
読影
撮影された画像を観察し、所見を医学的に評価する行為である。歯科医師・医師が行い、必要に応じて放射線科の専門医に依頼する。
距離の逆二乗則
点状の線源から離れるほど、放射線の強さが距離の二乗に反比例して弱くなるという法則である。距離を2倍にすると強さはおよそ4分の1になる。
軟組織側貌分析
横顔の皮膚や口唇の輪郭を、計測点や基準線を用いて評価する分析である。骨格の状態と合わせて、形態の傾向を数値として把握する目的で行う。
軟組織変化率(硬組織と軟組織の移動比)
骨や歯が移動した量に対して、皮膚や口唇がどの程度追随して変化するかの比率である。部位によって比率は異なり個人差もあるため、予測はあくまで目安となる。
造影剤
血管や病変を見やすくするために投与する薬剤である。副作用が生じることがあるため、既往歴やアレルギーの確認が事前に必要となる。
遮蔽(しゃへい)
鉛やコンクリートなどの物質で放射線をさえぎり、被曝を減らすことである。撮影室の壁や防護衝立がこれにあたる。
部分容積効果
一つの画素の中に性質の異なる組織が混在すると、その平均的な濃度として表示される現象である。薄い骨や細い管の描出が不正確になる一因となる。
鉛当量
防護具や遮蔽材が放射線をさえぎる性能を、同等の効果をもつ鉛の厚さに換算して表した値である。ミリメートル鉛当量(mmPb)で示される。
関節角(アーティキュラーアングル)
頭蓋底の後方部と下顎枝の後縁がなす角で、関節点(Ar)を頂点とする角度である。サドルアングルや下顎角とともに、顎角の総和を構成する要素の一つである。
防護の最適化
診断に必要な画質を確保したうえで、被曝線量を合理的に達成できる範囲でできる限り低く抑えるという原則である。撮影条件や照射範囲の見直しなどによって実践される。
防護エプロン(鉛エプロン)
散乱線から体幹部を守る目的で着用する、鉛などを含む防護具である。撮影する部位や装置の種類によって使用の要否が判断される。
面積線量積(DAP)
照射野の面積と線量を掛け合わせた指標で、患者が受けた放射線量の総量の目安となる。撮影装置に表示され、線量の把握と比較に用いられる。
顎運動検査(下顎運動測定)
開閉口や側方へのあごの動きを機器で記録し、範囲・滑らかさ・左右差を調べる検査である。顎関節や咀嚼筋の状態を把握するための参考情報となる。
顔面凸度(コンベキシティ)
上顎前方基底部の計測点(A点)を挟んで、ナジオンとA点を結ぶ線、A点とポゴニオンを結ぶ線がなす角度で、横顔の凹凸の程度を表す指標である。突出感を数値として把握する目的で用いられる。
顔面平面
前頭鼻骨縫合部とあご先の最前方点を結んだ線で、顔面前方の輪郭の傾きを代表する基準線である。水平基準面との角度から、あごの前後的な位置の傾向を評価する。
顔面角(フェイシャルアングル)
顔面平面と水平基準面がなす角で、あご先が前後的にどの位置にあるかを表す。数値が大きいほど前方寄り、小さいほど後方寄りの傾向を示す。
顔面軸(フェイシャルアキシス)
バジオンとナジオンを結ぶ線に対し、翼上顎裂点とグナチオンを結ぶ線がなす角で示される指標である。下顎が下方に伸びる傾向か前方に伸びる傾向かなど、成長の方向を考える手がかりとなる。
顔面高径(前顔面高・下顔面高)
顔の縦方向の長さを、鼻根部から下顎下端までなどの距離で表した指標である。上下の比率から、顔が長めか短めかといった骨格傾向を把握する。
鼻唇角
鼻の下縁と上唇がつくる角度である。上顎前歯の位置が変わると変化することがあり、側貌評価の指標の一つとして用いる。
