矯正歯科・顎変形症の用語集
GLOSSARY
デジタル矯正・研究・歴史(1/3)に関する用語120語を掲載しています。用語集の全体は矯正歯科・顎変形症の用語集をご覧ください。
5軸制御加工
3方向の直線的な動きに2方向の回転を加えた5つの軸を制御しながら削る加工方式である。アンダーカットを含む複雑な形態の再現に用いられる。
ABO-OGS(客観的グレーディングシステム)
治療後の模型とエックス線写真を項目ごとに減点方式で採点し、仕上がりを客観的に評価する方法。
ALARAの原則
医療被ばくを、診断に必要な情報が得られる範囲でできる限り低く抑えるという放射線防護の考え方である。撮影の要否や条件は歯科医師が判断する。
A・M・シュワルツ(A. M. Schwarz)
20世紀前半にウィーンで活動した歯科医師で、歯根膜の血流を妨げない範囲の力が望ましいという考えを示した。矯正力の大きさに関する議論の出発点となった。
B・H・ブロードベント(B. H. Broadbent)
1930年代に米国で、頭の位置を一定に保って撮影する規格化されたエックス線写真の方法を報告した研究者である。成長研究と診断の標準化に寄与した。
CAD/CAM
コンピュータ上で設計し、機械で製作する技術。矯正・外科領域では装置やスプリントの製作などに用いられる。
CONSORT声明(臨床試験報告の統一基準)
ランダム化比較試験の報告に含めるべき項目を定めた国際的な指針である。研究報告の質を高め、結果を比較しやすくする目的でつくられた。
CT値(ハウンスフィールド値)
CT画像で組織のエックス線吸収の程度を数値化した指標である。CBCTでは撮影条件の影響を受けやすく、医科用CTの値とそのまま同列に比較することは適切でない。
DMF指数(う蝕経験歯指数)
永久歯のう蝕経験を表す指標で、未処置のう蝕歯(D)、う蝕が原因で失われた歯(M)、処置を受けた歯(F)を合計して示す。乳歯では小文字を用いた指数が使われる。
EBM(根拠に基づく医療)
研究から得られた科学的根拠、臨床家の経験、患者の価値観の三つを踏まえて治療方針を決める考え方。
Eアーチ装置(E-arch)
アングルが考案した初期の装置で、臼歯に固定した太いアーチに歯を結紮して歯列弓を広げるものである。個々の歯を細かく動かすことは難しく、後の装置へと発展した。
FOV(撮影視野)
CBCTなどの三次元撮影で、一度に撮影される範囲の大きさを指す。診断目的に必要な範囲を選ぶことで、不要な被ばくを避ける配慮が行われる。
GRADEアプローチ(エビデンスの確実性と推奨の強さの評価法)
診療ガイドラインを作成する際に、エビデンスの確実性と推奨の強さを一定の手順に沿って評価する国際的な方法である。
H・D・ケスリング(H. D. Kesling)
20世紀中期の米国の歯科医師で、模型上で歯を並べ替えて治療目標を確認する方法や、弾性材料で作る仕上げ用の装置を考案した。現在の配列計画の考え方につながっている。
ICON(矯正治療の複雑性・アウトカム・必要度指数)
治療の難しさ、治療の必要度、治療結果を一つの尺度で評価するために提案された指数である。治療評価を標準化する目的でつくられた指標の一つである。
IOTN(矯正歯科治療必要度指数)
咬み合わせの状態と見た目の要素から、治療の必要性の高さを段階評価する指数。海外で公的医療制度の対象を検討する際などに用いられる。
ITT解析(intention-to-treat解析、割り付け解析)
割り付けどおりに治療が行われたかにかかわらず、当初の群のまま解析する方法。実際の診療に近い状況を反映しやすいとされる。
J・N・ファーラー(J. N. Farrar)
19世紀後半の米国の歯科医師で、歯を動かす際には強い力を持続させるより弱い力を間欠的に加えるほうがよいと論じた。歯の移動と骨の反応を結び付けて考えた初期の研究者とされる。
NURBS曲面(非一様有理Bスプライン曲面)
数式によって滑らかな曲面を表現する方法である。三角形の集合で表す方法と異なり、面のなめらかさを保ったまま編集しやすい。
OBJファイル
形状に加えて色やテクスチャの情報を保持できる3次元データ形式である。色調を含む口腔内スキャンの記録などに用いられる。
PACS(医用画像管理システム)
院内で撮影した医用画像を電子的に保存・検索・表示するシステムである。DICOM形式の画像を一元的に扱う。
PAR指数(ピア・アセスメント・レーティング)
模型上の歯の重なりや咬み合わせのずれを点数化し、治療前後の変化から改善の程度を示す指数。
PICO(患者・介入・比較・結果)
臨床上の疑問を、対象となる患者(P)、介入(I)、比較対象(C)、知りたい結果(O)に分けて整理する枠組みである。文献検索や研究計画の出発点となる。
PLYファイル
三次元形状を頂点と面の集合として記録するファイル形式の一つで、色の情報も保持できる点が特徴である。スキャンデータの受け渡しに用いられる。
PRISMA声明(システマティックレビューの報告指針)
システマティックレビューとメタアナリシスを報告する際に記載すべき項目を定めた国際的な指針である。
ROC曲線とAUC
判定の基準値を変えたときの感度と偽陽性率の関係を表した曲線がROC曲線で、その曲線の下の面積がAUCである。AUCが1に近いほど識別の能力が高いと解釈される。
STROBE声明(観察研究の報告指針)
コホート研究や症例対照研究、横断研究といった観察研究を報告する際に記載すべき項目を定めた国際的な指針である。
Zアングル(Z角)
側貌で最も前に出ている唇とオトガイを結ぶ線が、フランクフルト平面となす角度である。軟組織側貌の調和を評価する指標の一つとして用いられる。
p値(有意確率)
差がないと仮定したときに、観察された程度以上の差が偶然生じる確率を示す数値。小さいほど、偶然だけでは説明しにくいと解釈される。
t検定
二つの群の平均値の違いを検討するための統計手法である。データや推定値の分布が正規分布に近いことを前提とする。
アウトカム(評価項目)
研究や治療で何をもって結果とするかを定めた指標。咬み合わせの変化、顔貌、機能、患者の受け止め方などが用いられる。
アッカーマン・プロフィット分類(Ackerman-Proffit classification)
大臼歯の関係だけでは表しにくい叢生や側貌、垂直的・水平的な問題などを組み合わせて記述する分類法である。不正咬合を多面的に捉える枠組みとして提案された。
アノテーション(教師データ作成)
画像上の構造物や所見に印や名称を付け、学習用の正解データを作る作業である。歯科医療では専門的な知識を持つ者が行う必要があり、判断のばらつきが課題となる。
アメリカ矯正歯科学会(AAO)
1900年に設立された米国の矯正歯科の学術団体である。矯正歯科の専門教育や研究の普及に関わってきた。
アルゴリズムバイアス
学習データの偏りなどにより、特定の集団に対して推定が当たりにくくなることである。年齢構成や撮影機器の違いなどが要因となりうる。
アルビン・オッペンハイム(Albin Oppenheim)
20世紀前半の研究者で、動物実験により矯正力を加えたときの歯周組織の変化を組織学的に観察した。歯の移動の生物学的研究の草創期を担った。
アルフレッド・P・ロジャース(Alfred P. Rogers)
20世紀初頭の米国の歯科医師で、口の周りの筋の訓練を矯正治療に取り入れることを提唱した。現在行われている口腔周囲の機能訓練の源流とされる。
アングル矯正歯科学校(Angle School of Orthodontia)
アングルが1900年に米国で開設した、矯正歯科の専門教育を行う私立の教育機関である。ここで学んだ歯科医師が各地に広がり、その後の学派の形成につながった。
アーネ・ビョーク(Arne Björk)
20世紀中期に北欧で、顎骨に埋め込んだ金属標識を目印として成長を長期観察した研究者である。下顎が回転しながら成長するという理解に貢献した。
インレーワックス
鋳造用のパターンを製作するための歯科用ワックスである。温度によって変形しやすく、操作時と保管時の温度管理が求められる。
ウィリアム・H・ベル(William H. Bell)
顎骨を骨切りした後の血流や治癒の過程を研究し、術式に生物学的な裏づけを与えた米国の口腔外科医である。
ウィリアム・R・プロフィット(William R. Proffit)
20世紀後半以降の米国の矯正歯科学者で、診断と治療計画を体系的に整理した教科書により知られる。歯の位置が周囲の筋の釣り合いに左右されるという考え方を整理した。
ウェハレスサージェリー
顎矯正手術において、術中の骨片の位置決めに従来のスプリント(ウェハ)を用いず、ガイドや患者適合型プレートなどで位置を決める術式である。適応の判断は術者が行う。
エドワード・H・アングル(Edward H. Angle)
19世紀末から20世紀初頭にかけて活動した米国の歯科医師で、大臼歯の前後的な位置関係に基づく不正咬合の分類や複数の矯正装置を考案した。矯正歯科が独立した専門分野として確立する流れをつくった。
エビデンスレベル
研究の方法などに応じて、根拠の確からしさを段階分けした指標。一般にランダム化比較試験やその統合研究は高く、症例報告は低く位置づけられる。
エビデンス(科学的根拠)
臨床上の判断を支える研究データのこと。量だけでなく、研究の質の面からも評価される。
オッズ比
ある出来事の起こりやすさ(オッズ)を二つの群で比較した比。1に近いほど群間の差が小さいことを示す。
オトガイ
下あごの先端部分(あご先)。前後的・垂直的な位置が顔貌の印象に影響する。
オプトアウト
すでにある診療記録を用いる研究などで、情報の利用について広く知らせ、参加を望まない人が拒否できる機会を保証する方法。
オーストラリアンワイヤー(Australian wire)
ベッグ法で用いられた、加工により高い強度と弾性をもたせた細径のステンレススチールワイヤーである。弱く持続的な力を得る目的で使われた。
オープンアーキテクチャ
特定メーカーの機器やソフトに限定せず、標準的な形式でデータを入出力できる設計方針である。自社形式に限定する方式はクローズドと呼ばれる。
カイ二乗検定
割合や人数といった分類されたデータについて、群間で分布に違いがあるかを検討する統計手法である。
カットオフ値
検査結果を陽性と陰性に分けるために設定する境目の数値である。設定の仕方によって感度と特異度のバランスが変化する。
カッパ係数(κ係数)
分類や判定が観察者の間でどの程度一致したかを、偶然による一致を除いて示す指標。
カプラン・マイヤー法
追跡期間が人によって異なる場合でも、時間の経過に伴って出来事が起こっていない割合を推定し、階段状のグラフで示す方法である。
カラーマップによる偏差解析
二つの三次元データの形状の差を色の違いとして表示し、どの部位がどの程度ずれているかを視覚的に示す方法である。装置の適合や経時的な形態変化の確認に用いられる。
カルビン・S・ケース(Calvin S. Case)
20世紀初頭の米国の歯科医師で、歯列と顔貌の調和のためには抜歯を伴う治療も必要になり得ると主張した。抜歯の是非をめぐる歴史的な論争の一方の中心人物である。
キャリブレーション
スキャナーや加工機の示す値を基準器と照合し、ずれを補正する作業である。定期的な実施が精度管理の基本となる。
クロザート装置(Crozat appliance)
20世紀前半に米国で考案された、太めの金属線とバンドで構成される可撤式の装置である。歯列弓の幅を少しずつ広げる目的などで用いられた。
クロスオーバー試験
同じ参加者が期間を分けて複数の介入を順番に受け、その結果を比較する試験デザインである。個人差の影響を小さくできるが、前の介入の影響が残る可能性に注意を要する。
グナソロジー(顎機能学)
20世紀前半の米国で発展した、下顎位や顆路など顎運動の記録を重視する咬合理論である。補綴治療の分野から広まり、矯正歯科の咬合の考え方にも影響を与えた。
グレージング
陶材の表面を高温で溶かしてつやを出す仕上げ操作である。表面が滑らかであることは、汚れの付着や対合歯との摩耗に関係する。
ケース・デューイ論争
1910年代に米国で行われた、不正咬合の治療における抜歯の是非をめぐる公開討論である。矯正歯科の治療方針が学派ごとに分かれていく契機となった議論とされる。
コクラン共同計画(Cochrane Collaboration)
医療上の疑問に対して系統的に文献を集めて評価し、その結果を公開する国際的な取り組みである。1990年代に始まり、矯正歯科領域の総説も作成されている。
コホート研究
ある集団を一定期間追跡し、要因の有無とその後の結果との関係を調べる観察研究。
サイモンの分類(グナトスタティクス)
1920年代にドイツで提唱された、三つの基準平面に対する歯列の位置から不正咬合を立体的に捉える方法である。三次元的な診断の先駆けとされる。
サイモン・P・ハリヘン(Simon P. Hullihen)
19世紀中期の米国の外科医で、下顎の前歯部の骨を切って位置を変える手術を報告した。顎骨に対する外科的な形態改善の初期の記録とされる。
サスーニ分析(Sassouni analysis)
頭蓋顔面の複数の基準平面が交わる関係から、顔面の垂直的・水平的な型を判定する分析法である。骨格の型を把握する目的で用いられてきた。
サブグループ解析
年齢や重症度などで分けた一部の集団に限定して行う解析である。人数が少なくなるため、結論を確定するものではなく探索的な位置づけとして解釈する。
サポート材
造形の途中で張り出した部分を支えるために付加される、完成後に取り除く構造物である。除去した痕が仕上がりに影響するため、配置の設計が重要となる。
サンプルサイズ設計
研究を始める前に、必要な参加者数を統計的に見積もること。少なすぎると差を検出できず、多すぎると参加者の負担が増える。
システマティックレビュー
あるテーマについて、あらかじめ定めた手順で論文を網羅的に集め、質を評価したうえで結果をまとめる研究。
シリカコーティング法(トライボケミカル処理)
微粒子を吹き付けて金属などの表面にケイ素を含む層を作り、接着材との結合を助ける表面処理である。
ジョルジオ・ダルポン(Giorgio Dal Pont)
下顎枝を分割する骨切り線を下顎の体部前方まで延ばす改良を報告したイタリアの外科医である。骨片同士の接触面積を増やすことを意図した変法である。
ジルコニアの低温劣化
水分と熱の影響で結晶構造が徐々に変化し、表面の微小な荒れや強度の低下が生じる現象である。材料の組成や加工条件が関与するとされる。
スキャンスプレー
光を強く反射する面をスキャンする際に、表面へつや消しの薄い層を付けて計測しやすくする粉末状の材料である。厚く付着すると形の再現に誤差が生じる。
スキャンボディ
インプラント体などに取り付け、その位置や向きをスキャナーで読み取れるようにする治具である。読み取った情報が上部構造の設計に用いられる。
スクリーニング
症状が現れていない段階で、病気やその可能性がある人を選び出すために行う検査である。確定診断ではなく、精密検査につなげるための手段である。
スティッチング(画像連結)
口腔内の光学スキャンで連続撮影した多数の三次元画像を、重なり部分の形状を手がかりにつなぎ合わせて一つのデータにする処理である。連結の誤差が積み重なると、全体の形態がわずかにゆがむことがある。
ステイニング
表面に着色材を焼き付けて、色調や細かな特徴を再現する方法である。築盛による色の再現と組み合わせて用いる。
ストア・アンド・フォワード方式(蓄積転送型)
撮影した画像やデータをいったん保存して送信し、受け手が都合のよい時間に確認する遠隔連携の方式である。互いに同じ時間を確保する必要がない点が特徴である。
スプリットマウスデザイン
同じ患者の口腔内で、左右や上下に異なる方法を割り当てて比較する歯科特有の研究デザインである。個人差の影響を抑えられる一方、隣接部位への影響が生じうる点が課題となる。
スプルー
ワックスパターンと鋳型の外側をつなぐ、溶けた金属の通り道となる部分である。太さや位置が金属の流れ方や欠陥の生じ方に関係する。
スライスデータ
3次元データを積層方向に薄い断面へ分割した、造形機用のデータである。積層の厚みや露光の条件が指定される。
セットアップ模型/デジタルセットアップ
模型上またはデジタルデータ上で歯を並べ替え、治療後の歯並びの目標を再現したものである。必要なスペースや見通しの検討に用いるが、あくまで計画上の予測であり、実際の経過との間に差が生じることがある。
セメントスペース
被せ物の内面と支台歯の間に、接着材が入るようあらかじめ設計上設ける隙間である。設定値が適合や浮き上がりに関わる。
ソリッドモデル/サーフェスモデル
内部が詰まった立体として扱うのがソリッドモデル、表面の殻のみを扱うのがサーフェスモデルである。造形用データでは、面に穴や破綻がなく閉じた状態であることが求められる。
チャールズ・H・ツイード(Charles H. Tweed)
20世紀中期の米国の歯科医師で、非抜歯で治療した症例の再治療経験をもとに抜歯を伴う治療体系を整えた。下顎前歯の傾斜を重視する診断法を提唱した。
チャールズ・J・バーストン(Charles J. Burstone)
20世紀後半の米国の歯科医師・研究者で、矯正力を力学的に解析する手法を臨床に導入した。歯列を区分して力の系を設計する方法を体系化した。
ツイード法(Tweed technique)
下顎前歯を歯槽骨の中で直立させることを重視し、必要に応じて小臼歯の抜歯を行う治療体系である。診断には側面頭部エックス線規格写真の角度計測が用いられる。
ディスクレパンシー指数(DI)
症例の難易度を項目ごとに点数化して示す指数。米国の矯正専門医認定の審査などで用いられる。
ディレクショナルフォーステクニック(directional force technique)
ツイードの体系をメリフィールドが発展させた方法で、歯を動かす順序と力を加える方向を段階的に管理する。固定源の消耗を抑えることを意図した考え方である。
デシメーション
3次元データの三角形の数を減らし、扱いやすくする処理である。減らしすぎると細部の形態が失われる。
デジタルアーカイブ
模型・写真・エックス線画像などの診療資料を電子データとして保存・管理することである。保管場所の削減や検索性の向上につながる一方、バックアップと情報管理の体制が必要となる。
デジタルワックスアップ
治療後に想定される歯の形態や並びを、コンピュータ上で作成する設計作業である。経過には個人差があり、設計どおりの結果を約束するものではない。
デジタル光処理方式(DLP)
面状の光を投影して光硬化性樹脂を一層ずつ硬化させる造形方式である。点で走査する方式に比べ、一層をまとめて硬化させる点が異なる。
デミルジアン法(Demirjian法)
歯の石灰化の進み具合を段階に分けて評価し、歯の発育年齢を推定する方法である。成長段階の評価法の一つとして広く参照されてきた。
トゥルーネス(正確度)とプレシジョン(精密度)
トゥルーネスは真の形状からの偏りの小ささ、プレシジョンは繰り返し計測したときのばらつきの小ささを指す。スキャナーや造形物の性能を評価する際には、この二つを分けて考える。
トポロジー最適化
必要な強度を保ちながら材料の配置を計算で最適化する設計手法である。患者ごとの形状に合わせたプレートの設計などで検討される。
ドナルド・H・エンロウ(Donald H. Enlow)
顔面の骨の成長を、部位ごとの骨の添加と吸収による移動として説明した研究者である。顎顔面の成長理論の体系化に寄与した。
ネスティング
1回の造形や1枚の素材の中に、複数の対象物を効率よく配置することである。材料の無駄や造形時間に影響する。
ノセボ効果
効果をもたない処置であっても、悪い結果を予想することによって不快な症状が生じる現象である。痛みや違和感を評価する研究では考慮すべき要素となる。
ノンパラメトリック検定
データの分布に特定の形を仮定せずに行う統計手法である。人数が少ない場合や分布に偏りがある場合に用いられる。
ノーマン・W・キングスレー(Norman W. Kingsley)
19世紀後半に活動した米国の歯科医師で、顎の外から力を加えて前歯を後退させる方法や、口蓋裂の患者に用いる装置に取り組んだ。矯正歯科学の草創期を担った人物の一人とされる。
ハザード比
追跡している期間中に、ある出来事が起こる速さを群間で比較した指標である。生存時間分析の結果を示す際に用いられる。
ハプティックデバイス(力覚提示装置)
操作に応じて手ごたえや抵抗感を返す装置である。仮想空間での手技訓練など、触覚的な情報が必要な場面で用いられる。
ハンスック変法(Hunsuck modification)
下顎枝を分割する骨切り術において、内側の骨切りを下顎小舌のやや後方までにとどめる変法である。周囲組織への侵襲を抑える意図で提案された。
バイトスキャン(咬合採得スキャン)
上下の歯を咬み合わせた状態を光学的に読み取り、デジタル模型上で上下顎の位置関係を再現するためのスキャンである。記録時の下顎の位置がずれると咬合関係の再現に誤差が生じる。
バンドー(bandeau)
フォシャールが記載した、馬蹄形の金属板を歯に糸で結び付けて歯列の形を整える初期の装置である。現在は用いられないが、矯正装置の原型の一つとされる。
バーチャルブラケットポジショニング
デジタル模型の上で矯正装置の取り付け位置をあらかじめ設計する作業である。位置の決定は治療方針に基づいて歯科医師が行う。
バーチャル咬合器
顎の運動や咬み合わせの接触を、ソフトウェア上の仮想的な咬合器で再現する機能である。実際の顎運動をそのまま再現するものではないため、口腔内の所見と併せて評価する。
パイロット研究
本格的な研究を始める前に、手順の実施可能性や必要な参加人数の見積もりを確認するために小規模に行う予備的な研究である。
パープロトコル解析(PP解析)
計画どおりに治療や検査を完了した参加者だけを対象として行う解析である。実際に受けた治療の効果に近づく一方、途中で中断した人を除くため結果が良い方向に偏ることがある。
ヒューマン・イン・ザ・ループ
AIの出力をそのまま用いず、必ず人が確認・修正したうえで最終判断を行う運用の考え方である。診断や治療方針の決定は歯科医師が行うという原則を担保する仕組みである。
ビッカース硬さ
ダイヤモンド圧子を押し込んでできたくぼみの大きさから硬さを求める試験法、およびその値である。材料の削りやすさやすり減りの評価に用いる。
ビムラー装置(Bimler appliance)
20世紀中期にドイツで考案された、細い線材を多く用いる軽量な可撤式の機能的装置である。ヨーロッパの機能的矯正の流れに位置づけられる。
ビルドプラットフォーム
造形物が形成される土台となる板である。密着が不十分だと造形の失敗や変形の原因となる。
ピエール・フォシャール(Pierre Fauchard)
18世紀前半のフランスの歯科医師で、歯科医学を体系的な書物にまとめた人物として知られる。歯列不正に対して金属の帯を用いる装置を記載しており、矯正治療の初期の記録とされる。
ピン・アンド・チューブ装置(pin and tube appliance)
アングルがEアーチの後に考案した装置で、各歯のバンドに付けた管にピンを差し込んで歯を移動させる。調整に高度な技術を要したため広くは普及しなかった。
ファンネルプロット
各研究の効果の大きさと推定の精度の関係を散布図で示した図である。左右の偏りから出版バイアスなどの可能性を検討する材料となるが、偏りの原因は一つとは限らない。
