矯正歯科・顎変形症の用語集
GLOSSARY
感染制御・滅菌に関する用語75語を掲載しています。用語集の全体は矯正歯科・顎変形症の用語集をご覧ください。
A0値
熱水消毒の効果を、温度と作用時間から換算して表す指標である。洗浄消毒器の工程管理の基準として用いられる。
B型肝炎ワクチン
B型肝炎ウイルスの感染予防を目的として接種するワクチンである。血液に触れる機会のある医療従事者の職業感染対策として広く行われている。
HBs抗体
B型肝炎ウイルスの表面抗原に対する抗体である。ワクチン接種後に免疫が得られているかを確認する指標として測定される。
N95マスク(微粒子用マスク)
微細な粒子の吸入を抑える目的で用いる呼吸用保護具である。顔への密着が前提となるため、フィットテストと着用ごとのシールチェックが重要とされる。
ウォッシャーディスインフェクター(洗浄消毒器)
器材の洗浄から熱水消毒、乾燥までを自動で行う装置である。手作業を減らし、工程の条件を一定に保つ目的で用いられる。
エアロゾル
歯の切削や超音波スケーリングなどで生じる微細な水滴や粒子である。飛沫より小さく、空中に長くとどまりやすい。
カセット式トレー
器材をセットしたまま洗浄・滅菌・保管ができる専用容器である。器材の取り違えや、取り扱い時の受傷の機会を減らす目的がある。
クラスB滅菌器
欧州規格に基づく小型高圧蒸気滅菌器の区分の一つである。空気を排除する工程を備え、包装した器材や中空構造の器具にも対応できる。
クリティカル器具
無菌の組織や血管に触れる器材の区分であり、滅菌が求められる。外科用器具や骨に接する切削器具などが該当する。
クロルヘキシジングルコン酸塩
細菌の細胞膜に作用する消毒薬で、皮膚に残って効果が持続しやすく、手指消毒や術野の皮膚消毒に用いられる。日本では口腔粘膜への使用について添付文書上の制限があり、過敏反応の報告もあるため既往の確認が必要である。
グルタラール
高水準消毒に用いられるアルデヒド系の薬剤である。刺激性があるため、専用容器や換気、防護具の使用など取り扱いに注意を要する。
サックバック
回転を停止した際に、ハンドピース内部へ唾液や切削片が吸い込まれる現象である。逆流防止機構や患者ごとの交換によって対応する。
サージカルマスク
医療用として規格化されたマスクである。着用者から出る飛沫の拡散と、外部からの飛沫の付着を抑える目的で用いる。
スポルディングの分類
器材が生体のどこに接触するかによって、必要な処理の水準を区分する考え方である。クリティカル、セミクリティカル、ノンクリティカルの三つに分ける。
セミクリティカル器具
粘膜や傷のある皮膚に触れる器材の区分である。滅菌、または熱に弱い場合は高水準消毒が求められる。
ゾーニング
清潔度に応じて区域を分け、人や物の動線を整理する考え方である。清潔区域と汚染区域を明確にし、交差を避ける。
ダブルグローブ(二重手袋)
手術用手袋を二重に着用する方法である。外側が破損しても内側の手袋が保たれるため、血液曝露の機会を減らす目的で顎矯正手術などに用いられる。
ドレーピング
手術部位の周囲を滅菌された覆布で覆い、清潔野をつくる操作である。
ノンクリティカル器具
健常な皮膚のみに触れる器材や環境表面の区分である。洗浄と低水準消毒で対応することが一般的である。
ハンドピースの滅菌
タービンやコントラアングルを患者ごとに交換し、洗浄・注油・包装のうえ高圧蒸気滅菌する運用である。内部構造まで処理できる工程が必要となる。
バイオクリーンルーム
空気中の粒子数を低く管理した手術室である。高性能フィルターと気流の制御によって清浄度を保つ。
バイオハザードマーク
感染性廃棄物の容器に表示する標識である。赤・橙・黄の色によって、液状か固形か鋭利物かといった内容物の性状を区別する。
バイオフィルム
微生物が表面に付着して形成する膜状の集合体である。内部まで薬剤が届きにくいため、物理的な除去や定期的な洗浄が重要となる。
バリアフィルム
スイッチやハンドルなど拭き取りにくい部分を覆う使い捨てのフィルムである。患者ごとに交換して汚染の持ち越しを防ぐ。
フェイスシールド
顔面や眼への血液・唾液の飛散を防ぐ透明な保護具である。切削処置など飛散が多い場面でゴーグルとともに用いられる。
プレバキューム方式
蒸気を送り込む前に、真空ポンプで庫内の空気を排除する滅菌器の方式である。器材の内部や包装内まで蒸気が行き渡りやすくなる。
ボウィー・ディック試験
プレバキューム方式の高圧蒸気滅菌器で、空気の除去と蒸気の浸透が適切かを確認する日常点検の試験である。
ポビドンヨード
ヨウ素を徐々に放出する消毒薬であり、皮膚や粘膜の消毒、手術前の術野消毒、含嗽などに用いられる。着色するほか、ヨードに対する過敏症や甲状腺疾患がある場合は使用を避けることがある。
リキャップの禁止
使用済みの注射針にキャップを戻す操作を原則として行わないという取り決めである。この操作は針刺しの原因となりやすいためである。
レジオネラ属菌
水環境に生息する細菌であり、エアロゾルの吸入が感染経路となりうる。歯科では給水系の管理項目の一つとして注意される。
一次洗浄
使用直後に血液や唾液などの汚れを取り除く最初の洗浄である。汚れが乾いて固着するのを防ぎ、その後の洗浄効率を保つ目的がある。
中央材料室
器材の洗浄・滅菌・保管を一か所にまとめて行う部門である。工程を集約することで手順を標準化しやすくなる。
乾熱滅菌
高温の乾燥した空気で処理する滅菌法である。水分や蒸気で劣化する器材に用いられるが、高い温度と長い時間を必要とする。
再生処理(リプロセッシング)
使用した器材を洗浄・消毒・滅菌し、再び使用できる状態に戻す一連の工程である。いずれかの工程が不十分だと後の工程の効果も損なわれる。
再製造単回使用医療機器
使用済みの単回使用医療機器を、許可を受けた製造販売業者が回収し再生処理して製品化したものである。医療機関内で単回使用品を再使用することとは区別される。
医療機器添付文書
製造販売業者が定める使用方法や再処理の条件を記載した文書である。器材ごとの洗浄・滅菌方法はこの記載に従う。
口腔外バキューム
口の外に設置し、処置で生じた飛沫やエアロゾルを吸引する装置である。診療室内への拡散を減らす目的で用いる。
咳エチケット
咳やくしゃみの際に口と鼻を覆い、周囲への飛沫の広がりを抑える行動である。待合室でのマスク着用の案内も含まれる。
器材のトレーサビリティ
どの器材をどの滅菌工程で処理し、いつ誰に使用したかを記録して追跡できるようにすることである。問題が生じた際の確認に役立つ。
塩化ベンザルコニウム
第四級アンモニウム塩に分類される低水準消毒薬である。器材や環境表面、創傷部の洗浄などに用いられる。
安全機能付き器材(安全器材)
使用後に針先が覆われるなどの機構を備えた注射針やメスである。針刺し・切創の発生を減らす目的で導入される。
感染経路別予防策
標準予防策に加えて、病原体の伝わり方に応じて追加する対策である。接触・飛沫・空気の各経路ごとに、必要な防護具や環境対応を定める。
手術創の清潔度分類
手術創を清潔・準清潔・汚染・感染に区分する分類である。口腔内を経由する顎矯正手術は準清潔に区分されることが多い。
手術時手指消毒
手術の前に手指から前腕までを洗浄し、持続性のある消毒薬で処置する手順である。通常の手指衛生より広い範囲を長い時間かけて行う。
接触予防策
手指や器材、環境表面を介して伝わる病原体に対して行う追加の対策である。手袋やガウンの着用、器材の専用化、環境清拭の強化などを組み合わせる。
曝露後予防
針刺しや粘膜への血液曝露が起きた後に、感染の成立を抑える目的で行う検査・ワクチン接種・薬剤投与などの一連の対応である。
標準作業手順書(SOP)
洗浄・滅菌や環境整備などの手順を文書化したものである。担当者による手順のばらつきを抑え、教育や点検の基準となる。
次亜塩素酸ナトリウム
塩素系の消毒薬であり、血液が付着した環境表面などの処理に用いられる。金属を腐食させることや、有機物により効果が下がる点に注意する。
歯科ユニット給水系(DUWL)
歯科ユニットに注水するための細い管の系統である。内部にバイオフィルムが形成されやすいため、定期的な洗浄と水質の管理が求められる。
残留タンパク質検査
洗浄後の器材に血液や唾液由来の汚れが残っていないかを確認する検査である。洗浄工程が適切に機能しているかを点検する方法の一つである。
注油(潤滑)
ハンドピースなど可動部をもつ器材に潤滑剤を与える工程である。洗浄後・滅菌前など、器材ごとに定められた順序と量で行う。
消毒用エタノール
手指や器材表面に用いられるアルコール系の消毒薬である。速やかに乾くという利点がある一方、芽胞には効果が期待できない。
清潔野
手術時に、滅菌された覆布や器材で構成される清潔な範囲である。この範囲の外側と接触しないように操作する。
滅菌バリデーション
滅菌の工程が意図した結果を安定して得られることを、記録や試験に基づいて検証する手続きである。
滅菌保証水準(SAL)
滅菌処理後に微生物が生存している確率を表す指標である。一般に100万分の1以下を目安として設計される。
滅菌物の有効期限
包装された滅菌済み器材を使用できる期間の目安である。包装の破損や濡れがあれば、期限内であっても再処理する。
無菌操作
滅菌された器材や術野を汚染させないように取り扱う手技である。手術や外科処置における基本となる。
熱水消毒
高温の水によって微生物を減らす消毒法である。薬剤が残らない利点があり、器材の再生処理工程に組み込まれる。
特別管理産業廃棄物
感染性廃棄物のように、爆発性・毒性・感染性などがあり特別な管理が必要と法令で定められた廃棄物の区分である。
環境清拭
診療環境の表面を、洗浄剤や消毒薬を含ませたクロスで拭き取る作業である。患者ごと、および定期的に実施する。
生物学的インジケータ
芽胞を用いて滅菌工程の効果を確認する指標である。工程後に培養し、菌の発育の有無で判定する。
産業廃棄物管理票(マニフェスト)
廃棄物の排出から運搬・処分までの流れを記録し確認するための伝票である。排出した医療機関が交付し、処理の終了を確認する。
用手洗浄
ブラシなどを使い手作業で器材を洗浄する方法である。水の飛散や鋭利器材による受傷に配慮した手順と防護具が必要となる。
空気予防策
長く空中を漂う微細な粒子で伝播する病原体に対して行う対策である。N95マスクの着用や換気の確保などが含まれ、結核や麻疹などが対象となる。
耐貫通性容器
注射針やメス刃などの鋭利物を廃棄するための、貫通しにくい材質の専用容器である。使用する場所の近くに設置する。
職業感染
医療従事者が業務を通じて病原体に曝露し感染することである。針刺しや、血液・唾液の粘膜への飛散が主な経路となる。
芽胞
一部の細菌が過酷な環境で形成する耐久性の高い構造である。熱や薬剤に強く抵抗するため、滅菌工程の効果を判定する指標に利用される。
術野消毒
手術の前に、手術部位の皮膚や粘膜を消毒薬で処置することである。顎矯正手術では口腔内と顔面の皮膚の双方が対象となる。
過酢酸
高水準消毒や化学的な滅菌に用いられる薬剤である。有機物の影響を受けにくい一方、金属を腐食させることがあるため対象器材を選ぶ。
過酸化水素低温プラズマ滅菌
過酸化水素を用いて比較的低い温度で行う滅菌法である。熱や湿気に弱い器材の処理に用いられる。
酵素系洗浄剤
血液や唾液に含まれるタンパク質を分解しやすくする酵素を配合した洗浄剤である。器材洗浄の前処理や本洗浄に用いられる。
院内感染対策委員会
感染対策の方針決定、手順の見直し、職員研修などを担う院内の組織である。定期的な会議と記録が求められる。
飛沫予防策
咳やくしゃみ、歯科処置で生じる比較的大きな飛沫による伝播を抑えるための対策である。マスクの着用や患者間の距離の確保などを行う。
高水準消毒薬
芽胞を除く多くの微生物を比較的短時間で不活化できる消毒薬である。熱に弱く滅菌できない器材の処理に用いられる。
高頻度接触面
ドアノブ、ユニットのスイッチ、ライトの取っ手など、手が触れる機会が多い環境表面である。清拭消毒の重点対象となる。
