矯正歯科・顎変形症の用語集
GLOSSARY
合併症・リスク・全身管理(2/3)に関する用語120語を掲載しています。用語集の全体は矯正歯科・顎変形症の用語集をご覧ください。
咀嚼筋
咬筋・側頭筋・内側翼突筋・外側翼突筋など、下顎を動かす筋の総称である。緊張や疲労はあごの痛みや開口のしにくさとして自覚されることがあり、術後の機能回復とも関わる。
咀嚼粘膜
歯肉や硬口蓋のように、噛む力が直接加わる部位を覆う口腔粘膜である。表面が角化して厚く、骨と強く結合しているため動きが少ない。
咬合と運動パフォーマンス
咬みしめや咬合支持の状態が、筋出力や姿勢の安定にどのように関わるかというテーマである。研究は行われているが一定の結論には至っておらず、断定的に扱わないことが求められる。
咬合性外傷
かみ合わせの力が特定の歯に強く集中し、歯周組織に負担がかかった状態である。歯列やかみ合わせを整えることは、この力の偏りを分散させる目的をもつ場合がある。
咬合違和感(こうごういわかん)
咬み合わせがしっくりこない、当たり方が気になるといった自覚症状である。装置の調整や術後の変化に伴い生じることがあり、経過とともに変化しうる。
咬筋の萎縮(こうきんのいしゅく)
顎を動かす筋が使われない期間に細くなり、力が入りにくくなる状態である。術後に軟らかい食事が続くと生じうるため、段階的な機能回復を図る。
固定式リテーナー(ボンデッドリテーナー)
主に前歯の裏側に細いワイヤーを接着して装着し続ける保定装置である。取り外しの手間がない一方で清掃が難しくなるため、定期的な確認と丁寧な清掃が必要となる。
地図状舌
舌の表面に赤い斑と白い縁取りが地図のように現れ、日によって形や位置が変わる状態である。しみる感じを伴うこともあるが、多くは経過観察で対応される。
変形性顎関節症
下顎頭など顎関節を構成する骨の形態が、長期的な負担や加齢変化により変化した状態である。画像検査で確認され、症状の有無や程度には個人差がある。
外傷による永久歯胚の形成障害
乳歯の外傷などが歯胚に影響し、後から生えてくる永久歯のエナメル質形成や萌出方向に異常が生じることをいう。白斑や形態の異常、萌出位置の異常としてあらわれることがある。
外傷既往歯への矯正力
外傷の既往がある歯を矯正で動かす際に配慮する力の設定をいう。歯根吸収やアンキローシスが潜在している可能性があるため、事前の診査と力の慎重な管理が求められる。
外傷時の初期対応
受傷直後に行う止血、創の洗浄、脱落歯の保存、全身状態の確認などの一連の対応である。意識障害や強い頭頸部症状がある場合は、歯の処置より全身の評価が優先される。
外傷歯の予後評価
外傷を受けた歯が良好に治癒しているかを、症状の有無、歯髄の生活性、歯根吸収やアンキローシスの所見などから総合的に評価することをいう。
外傷歯の固定期間
脱臼などを起こした歯を固定しておく期間をいう。外傷の種類や歯槽骨骨折の有無によって目安が異なり、治癒の経過を確認しながら歯科医師が判断する。
外傷歯の経過観察
外傷を受けた歯について、一定の間隔で症状、動揺、歯髄反応、エックス線所見などを確認していくことをいう。合併症は受傷から時間が経って現れることがあるため、長期の確認が必要となる。
外傷記録
受傷の状況や日時、既往、口腔内所見、写真、画像所見などを整理して残した記録である。その後の経過との比較や、必要に応じた書類の作成の基礎となる。
多形滲出性紅斑
皮膚の標的状の紅斑とともに、口唇や口腔粘膜にびらんや血痂を生じる急性の炎症性疾患である。感染や薬剤が誘因となることがある。
好酸球
白血球の一種で、アレルギー疾患や寄生虫感染で増加することがある細胞である。血液検査での増加は、アレルギー傾向を検討する手がかりの一つとなる。
妊娠期の歯科診療
妊娠中の患者に行う歯科診療で、時期・体位・エックス線撮影・投薬に配慮が求められる。矯正歯科では処置内容を調整し、外科処置や手術の時期は産科主治医と相談して検討する。
完全脱臼
歯が歯槽窩から完全に抜け落ちた外傷である。歯を乾燥させずに保存し、できるだけ早く再植を行えるかどうかがその後の経過に関わるとされる。
尋常性天疱瘡
上皮細胞どうしの接着を担う分子に対する自己抗体により、粘膜や皮膚に水疱とびらんを生じる自己免疫疾患である。口腔内が最初の発症部位となることがある。
局所麻酔薬アレルギー
局所麻酔薬やその添加物に対するアレルギー反応。実際には別の原因による症状であることも少なくないため、既往がある場合は専門的な検査で原因を確かめてから使用薬剤を選ぶ。
局所麻酔薬中毒
局所麻酔薬が体内に過量に吸収されることで、しびれ・耳鳴り・めまい・けいれんなどの症状が生じる状態。使用量の管理と投与中の観察により予防に努める。
帯状疱疹
体内に潜伏していた水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化し、神経の支配領域に沿って痛みと水疱を生じる病態である。三叉神経の領域では顔面や口腔内に症状が出ることがある。
弾性固定
外傷を受けた歯を、わずかな生理的動揺を許す弾力のある材料で隣の歯に固定する方法である。固すぎる固定は歯根や歯根膜の治癒に不利になりうると考えられている。
心房細動
心房が不規則に細かく動く不整脈で、血栓ができやすいため抗凝固療法が行われることが多い。抜歯や外科処置では出血への配慮が必要になる。
急性壊死性潰瘍性歯肉炎
歯間乳頭の壊死、強い痛み、出血、特有の口臭を伴う急性の歯肉の炎症である。全身状態や口腔清掃の悪化が背景にあることがあり、早めの受診が望ましい。
患者誤認防止
氏名や生年月日を患者自身に名乗ってもらうなど、複数の方法で本人確認を行い取り違えを防ぐ取り組み。処置や投薬の各段階で実施する。
悪性転化
良性あるいは前がん段階とされる病変が、経過の中で悪性の性質を持つようになることである。起こる頻度は病変の種類や条件により異なるため、定期的な確認が重要とされる。
悪性高熱症(あくせいこうねつしょう)
特定の麻酔薬などをきっかけに体温上昇や筋の硬直が生じる、まれな体質に関連した反応である。家族歴を含む術前の問診で事前に確認することが重要とされる。
感作(かんさ)
ある物質に対して免疫系が反応する準備を整えた状態になることである。感作が成立した後に同じ物質へ接触すると、アレルギー症状が現れることがある。
感染性心内膜炎
血流に入った細菌が心臓の弁や内膜に付着して起こる感染症。特定の心疾患がある場合、出血を伴う歯科処置の前に抗菌薬を投与する対応が検討される。
感覚異常(かんかくいじょう/知覚異常)
しびれ、鈍さ、ピリピリ感など、通常とは異なる感覚が生じる状態を指す。顎矯正手術後には唇やオトガイ部などに一定期間みられることがあり、回復の程度や期間には個人差がある。
慢性腎臓病(CKD)
腎機能の低下が続く状態の総称。薬剤の排泄や出血のしやすさ、血圧管理に影響するため、投薬量や処置内容を医科主治医と相談して決める。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
喫煙などにより気道や肺胞が障害され、息切れや慢性の咳が続く疾患。全身麻酔下の顎矯正手術では、術後の呼吸管理に配慮が必要となる。
手指衛生
石けんと流水による手洗いやアルコール製剤による消毒で、手指を介した病原体の伝播を防ぐ行為。処置の前後など、定められた場面で実施する。
手足口病
コクサッキーウイルスなどのエンテロウイルスによる感染症で、口腔内の小水疱・潰瘍と手足の発疹を生じる。小児に多く、痛みのために飲食が難しくなることがある。
打診痛
歯を器具で軽く叩いたときに生じる痛みをいう。歯根膜の炎症の有無を推測する所見として、外傷歯や根尖病変の診査に用いられる。
抗凝固薬(こうぎょうこやく)
血液が固まりにくくなるように作用する薬剤である。服用中は出血のしやすさに影響しうるため、手術前に処方医と連携して休薬や継続の方針を検討する。
抗菌薬適正使用
必要な場面に限り、適切な薬剤・量・期間で抗菌薬を用いる考え方。歯科でも不要な投与を避けることが、耐性菌の発生抑制につながるとされる。
抗血小板薬
血小板の働きを抑えて血栓を予防する薬剤。抜歯などでは出血がやや長引くことがあるが、圧迫や縫合などの局所的な止血処置で対応することが多い。
抗血栓薬
血液を固まりにくくして血栓を防ぐ薬剤の総称で、抗血小板薬と抗凝固薬が含まれる。自己判断で中止すると血栓症のリスクが高まるため、休薬の要否は処方医と歯科医師が相談して決める。
挺出性脱臼
歯が歯槽窩から部分的に抜け出るように移動した外傷である。速やかに元の位置へ整復して固定し、その後の歯髄や歯根の状態を継続して確認する。
掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
手のひらや足の裏に無菌性の膿疱を繰り返す皮膚疾患である。歯科金属や病巣感染との関連が指摘されることがあるが、関与の有無は皮膚科医と協議して評価する。
放射線性口腔粘膜炎
頭頸部への放射線治療に伴って口腔粘膜に生じる炎症である。疼痛や摂食困難の原因となるため、治療開始前からの口腔管理と歯科・医科の連携が重視される。
救急カート
急変時に使用する薬剤や器材をまとめて配置した可動式の台。定期的な点検と補充により、必要なときに使える状態を保つ。
早期接触・咬合干渉
口を閉じる途中や下あごを動かす際に、特定の歯だけが先に強く当たったり、動きを妨げたりする状態である。下あごのずれや、歯・顎関節への負担につながることがある。
服薬歴
現在および過去に使用している薬剤の種類・量・期間の情報。外科処置時の出血や骨・粘膜への影響に関わるため、市販薬やサプリメントも含めて申告してもらう。
根本原因分析(RCA)
発生した事象について、表面的な原因だけでなく背景にある仕組みの問題まで掘り下げる分析手法。再発防止策の立案に用いる。
止血(しけつ)
出血を止めるための処置全般をいう。術中は電気凝固や結紮などが用いられ、術後は圧迫や安静が指示されることがある。
正中菱形舌炎
舌背の正中やや後方に、ひし形の赤くつるつるした部分が現れる状態である。カンジダの関与が指摘されることがあり、診断と対応は歯科医師が行う。
歯の亜脱臼
歯根膜の損傷により歯に動揺が生じるが、歯の位置そのものは変わっていない外傷である。歯肉溝からの出血を伴うことがあり、状況に応じて固定や経過観察を行う。
歯の保存液
脱落した歯を乾燥させずに歯科医院まで運ぶための専用の保存液である。手元にない場合は牛乳などが代用とされ、水道水に長時間浸すことは歯根膜細胞にとって不利とされる。
歯の動揺度
歯がどの程度動くかを器具や指で調べ、段階で評価する指標である。矯正中は生理的に動揺がやや増すことがあり、歯周組織の状態と合わせて評価する。
歯の変色(はのへんしょく)
歯髄の状態の変化や外傷などにより、歯の色調が周囲と異なってくることである。原因の評価を行ったうえで対応方針を検討する。
歯の振盪
歯を支える歯根膜が打撲を受けたが、歯の動揺や位置の変化を伴わない状態である。叩くと痛みが出やすく、多くは経過観察が中心となる。
歯冠-歯根破折
破折線がエナメル質・象牙質から歯根部のセメント質にまで及ぶ外傷である。破折線が歯肉縁下に深く及ぶ場合は、歯を保存できるかどうかの判断が難しくなる。
歯周ポケット
歯と歯肉の境目にある溝が、炎症などにより深くなった状態である。深さを測ることで、歯周組織の状態を把握する目安の一つとなる。
歯周炎
炎症が歯肉を越えて歯槽骨にまで及び、歯を支える組織が失われていく状態である。進行すると歯の動揺が増すことがあるため、矯正治療の前後に状態を確認する。
歯周組織
歯を支える歯肉・歯根膜・歯槽骨・セメント質の総称である。矯正治療では歯をこの組織の中で動かすため、治療中も健康な状態を保つことが重要とされる。
歯周組織の喪失(ししゅうそしきのそうしつ)
歯を支える歯槽骨や付着が失われることをいう。清掃不良や過度な力が要因となりうるため、矯正中の歯周管理が重要とされる。
歯根膜
歯根と歯槽骨の間にある薄い線維性の組織で、噛む力を受け止めるクッションの役割をもつ。矯正力が加わるとこの部分で反応が起こり、周囲の骨の吸収と添加を通じて歯が移動する。
歯根膜細胞の生活性
脱落した歯の根面に残る歯根膜細胞が生きている度合いをいう。再植した歯が骨と直接癒着せずに治癒するかどうかに関わるため、根面はこすらず、乾燥させないように扱う。
歯槽骨
あごの骨のうち歯根を取り囲み、歯を支えている部分である。矯正では歯槽骨の中で歯を動かすため、その厚みや高さが歯を移動できる範囲の目安となる。
歯石
プラークが唾液中の成分と結びついて硬くなったもので、歯ブラシでは落とすことができない。歯科医院で器具を用いて除去する。
歯肉増殖(歯肉肥大)
歯肉が腫れて盛り上がった状態で、装置周囲の清掃不良のほか、体質や服用中の薬剤が関与することがある。原因への対応で改善することもあるが、状態により処置を検討する。
歯肉炎
歯垢などが原因で歯肉に炎症が起きた状態で、腫れや出血がみられることがある。歯を支える骨にまでは炎症が及んでいない段階を指す。
歯髄再血管化療法
歯根が未完成な歯で歯髄を失った場合に、根管内を消毒したうえで根尖部からの血液や細胞の供給を促し、歯根の発育の継続を目指す治療法である。適応や結果には個人差がある。
歯髄壊死
歯の内部にある歯髄(神経や血管の組織)が生活力を失った状態である。外傷の既往がある歯などでは矯正治療の経過中に生じることがあり、歯の変色や検査所見をもとに歯科医師が判断する。
歯髄腔閉鎖
外傷後に象牙質が過剰に添加され、歯髄腔が狭くなったり画像上で見えにくくなったりする変化である。歯が黄色みを帯びて見えることがあるが、直ちに処置が必要とは限らない。
気管支喘息
気道の慢性的な炎症により発作性の咳や呼吸困難を生じる疾患。一部の解熱鎮痛薬で発作が誘発される場合があるため、薬剤選択に注意する。
気道閉塞(きどうへいそく)
空気の通り道が狭くなり、呼吸が妨げられる状態である。術後の腫れなどが影響しうるため、周術期には呼吸状態の観察が行われる。
水疱(すいほう)
粘膜や皮膚の内部に液体がたまって膨らんだ病変である。口腔内では摩擦を受けやすいため破れやすく、短時間でびらんに変化することが多い。
水酸化カルシウム製剤
強いアルカリ性を示す歯科用薬剤で、覆髄や根管内への貼薬に用いられる。長期にわたる貼薬は象牙質の脆弱化に関わるとされ、期間の管理が必要となる。
温度診
冷たい刺激などを歯に与えて歯髄の反応を確認する検査である。電気歯髄診断と組み合わせ、外傷歯の経過観察における指標の一つとして用いる。
溝状舌(こうじょうぜつ)
舌の表面に深い溝が複数見られる状態である。多くは無症状だが、溝に汚れがたまりやすいため清掃方法の工夫が勧められることがある。
炎症性歯根吸収
感染した歯髄や損傷した根面が引き金となり、歯根の表面が比較的短期間で吸収される病態である。早期に把握して対応できるよう、外傷歯では定期的な画像確認を行う。
特異的IgE抗体検査
血液中の、特定の抗原に対するIgE抗体の量を測定する検査である。結果は問診や実際の症状と合わせて医師が総合的に評価する。
生理的色素沈着
メラニン色素によって歯肉や頬粘膜が褐色から黒褐色に見える、病的でない色調変化である。程度には個人差があり、他の色素性病変との区別は歯科医師が診察して判断する。
瘢痕(はんこん)
創が治癒する過程でできる線維性の組織である。口腔内の切開では目立ちにくいことが多いが、皮膚の切開を伴う場合は瘢痕の残り方に個人差がある。
白斑病変(はくはんびょうへん)
エナメル質の表層下からミネラルが失われ、白く濁って見える初期の病変である。装置の周囲に生じやすく、清掃とフッ化物の応用で進行の抑制を図る。
白色海綿状母斑
頬粘膜などが厚くひだ状の白色を呈する、遺伝性の粘膜変化である。無症状のことが多いが、他の白色病変と区別するため歯科医師の診察を受ける。
直接経口抗凝固薬(DOAC)
凝固因子の働きを直接抑える経口の抗凝固薬。定期的な凝固能検査を必要としない一方、服用時間と処置のタイミングを考慮する必要がある。
直接覆髄法
露出した歯髄の表面を薬剤で直接覆い、歯髄を生きたまま保存することを目指す処置である。露出の大きさや汚染の程度、受傷からの時間によって適否が変わる。
眼窩下神経(がんかかしんけい)
上唇、頬、鼻の側方などの感覚をつかさどる神経で、上顎骨の前面にある眼窩下孔から出る。上顎の骨切り術後にこの領域の感覚変化がみられることがある。
眼窩底骨折(ブローアウト骨折)
眼球への強い衝撃により眼窩の底が骨折し、周囲組織が上顎洞側へ落ち込むことがある骨折である。複視、眼球運動の制限、頬部の知覚異常を伴うことがある。
知覚過敏
冷たいものなどで歯が一時的にしみる症状で、歯根面の露出やエナメル質の摩耗などが関わる。矯正治療中に生じることがあり、経過とともに落ち着く場合もある。
矯正装置装着者用マウスガード
矯正装置を装着したままでも使用できるよう、装置の厚みや今後の歯の移動を見込んで設計するマウスガードである。歯の移動に伴い、調整や再製作が必要となる。
破傷風トキソイド
破傷風を予防するために用いるワクチンである。土壌などで汚染された創がある場合には、予防接種歴に応じて医科での対応が検討される。
破折片接着法
破折して外れた歯の破片を保存しておき、接着材料で元の位置に戻す方法である。破片の保存状態や適合、咬合の条件によって適用できるかどうかが変わる。
神経再生(しんけいさいせい)
損傷を受けた末梢神経の線維が再び伸長し、感覚の回復に向かう生体の修復過程である。回復の速度や到達度には個人差があり、年齢や損傷の程度が影響するとされる。
神経麻痺(しんけいまひ)
神経の働きが低下または停止し、感覚や運動が損なわれた状態をいう。手術操作や術後の腫れによる圧迫などが要因となりうるため、術後は経過観察を行う。
粘膜潰瘍(ねんまくかいよう)
口腔粘膜の表層が欠損した状態で、痛みを伴うことが多い。原因となる機械的刺激を取り除き、治癒の経過を確認する。
粘膜類天疱瘡
上皮と結合組織の境界部を標的とする自己抗体により、口腔や眼などの粘膜に水疱とびらんを生じる自己免疫疾患である。歯肉が剥離しやすくなる形で現れることがある。
糖尿病
血糖値が慢性的に高くなる代謝疾患。血糖コントロールの状態は歯周組織の炎症や創の治り方に影響するため、外科処置の可否や時期は医科と連携して検討する。
肉芽腫性口唇炎
口唇が繰り返し、あるいは持続的に腫れる原因の明らかでない慢性炎症である。組織検査で肉芽腫が確認されることがあり、他の疾患との鑑別が必要となる。
肝機能障害
肝臓の働きが低下した状態。薬の代謝や血液凝固因子の産生に影響することがあり、鎮痛薬・抗菌薬の選択や出血への配慮が必要になる。
肥満細胞(マスト細胞)
皮膚や粘膜に存在し、ヒスタミンなどの化学物質を蓄えている細胞である。IgE抗体を介した刺激で内容物を放出し、アレルギー症状のきっかけとなる。
脳血管障害
脳梗塞や脳出血など、脳の血管が障害される疾患の総称。再発予防に抗血栓薬を服用していることが多く、外科処置では出血と休薬の両面から医科主治医と相談する。
膿瘍(のうよう)
感染により組織内に膿がたまった状態である。口腔・顎顔面領域では腫脹や疼痛、開口しづらさを伴うことがあり、排膿処置が検討される。
舌痛症(口腔灼熱症候群)
明らかな粘膜の異常が見当たらないのに、舌にひりひりとした痛みや灼熱感が続く状態である。複数の要因が関与すると考えられ、症状の経過には個人差がある。
舌神経(ぜつしんけい)
舌の前方部の一般感覚をつかさどり、鼓索神経に由来する線維を介して味覚にも関与する神経である。下顎の外科処置や親知らずの抜歯で近接する場合があり、手技上の配慮が必要とされる。
萎縮性舌炎
舌乳頭が失われて舌の表面が平滑になり、赤みやしみる感じを伴う状態である。鉄やビタミンなどの不足が背景にあることがあり、医科と連携して原因を調べる。
薬剤リンパ球刺激試験(DLST)
採取した血液中のリンパ球が、特定の薬剤に反応して増殖するかを調べる検査である。結果だけで原因を断定せず、症状の経過や他の情報と併せて判断される。
薬剤性口内炎
服用している薬剤が関与して、口腔粘膜に紅斑、びらん、潰瘍などを生じる状態である。原因が疑われる薬剤の扱いは、自己判断せず処方医と相談して決める。
薬剤耐性(AMR)
細菌が抗菌薬の効きにくい性質を獲得すること。世界的な課題であり、歯科でも予防投与や術後投与の判断を根拠に基づいて行う。
虚血性心疾患
心臓を養う冠動脈の血流が不足して起こる狭心症や心筋梗塞の総称。発作の頻度や治療内容、抗血栓薬の使用状況を医科主治医に確認したうえで歯科処置を計画する。
蜂窩織炎(ほうかしきえん)
皮下や結合組織に広がる急性の細菌感染である。顎顔面領域では腫脹が広範囲に及ぶことがあるため、早期の受診と治療が求められる。
血友病
血液を固める因子が生まれつき不足し、出血が止まりにくくなる疾患。抜歯や外科処置は血液内科と連携し、補充療法などの準備を整えたうえで行う。
血液媒介感染
B型肝炎・C型肝炎・HIVなど、血液や体液を介して伝播する感染。歯科では標準予防策と器具の適切な処理により伝播の防止に努める。
血腫(けっしゅ)
組織の内部に血液がたまって塊状になったものである。腫れや圧迫感の原因となることがあり、程度に応じて処置や経過観察を行う。
術前含嗽
処置や手術の前に洗口液で口の中をすすぎ、口腔内の細菌数を一時的に減らす対応。手術部位の汚染を減らす目的で行われる。
術後出血(じゅつごしゅっけつ)
手術の後に創部や鼻腔などから出血が続く、あるいは再び出血する状態である。程度に応じて圧迫や再処置などの対応が検討されるため、気づいた時点で速やかに医療機関へ連絡する。
衝撃吸収能
材料が衝撃のエネルギーをどの程度吸収・分散できるかを示す性質である。マウスガードの材料選択や厚みの設計を検討する際の指標となる。
被覆粘膜
頬や口唇の内側、口腔前庭、舌下部などを覆う角化の弱い口腔粘膜である。伸び縮みしやすい一方で、装置などの機械的刺激では傷つきやすい。
複視
ものが二重に見える症状である。顔面の外傷では眼窩周囲の骨折や外眼筋の絞扼が関与することがあり、医科での評価が必要となる。
複雑性歯冠破折
破折が歯髄に達し、歯髄が露出した歯冠破折である。露出の大きさ、受傷からの経過時間、歯根の完成度などをふまえて、歯科医師が歯髄の処置方針を判断する。
褥瘡性潰瘍(じょくそうせいかいよう)
装置の縁や鋭くなった歯など、同じ場所への持続的な機械的刺激によって生じる潰瘍である。刺激の原因を取り除くことが対応の基本となる。
誤嚥(ごえん)
飲食物や唾液、血液、異物などが誤って気管側へ入ってしまうことである。麻酔前の絶飲食や術後の食事形態の工夫は、誤嚥を避けるための配慮でもある。
誤飲(ごいん)
本来飲み込むべきでないものを消化管へ飲み込んでしまうことである。小さな装置の部品でも起こりうるため、外れた場合は自己判断せず歯科医院へ相談する。
