矯正歯科・顎変形症の用語集
GLOSSARY
顎矯正手術・周術期(1/2)に関する用語120語を掲載しています。用語集の全体は矯正歯科・顎変形症の用語集をご覧ください。
ASA-PS(米国麻酔科学会 全身状態分類)
手術を受ける人の全身状態を段階的に分類する国際的な指標である。麻酔管理の計画やリスクの見積もりの参考として、麻酔科医が診察と検査結果に基づいて判定する。
ERAS(術後回復力強化プログラム)
術前の絶飲食時間の短縮、早期離床、計画的な痛みの管理などを組み合わせ、回復を妨げる要因を減らそうとする考え方である。取り入れる内容は施設や患者の状態によって異なる。
GLIM基準(低栄養診断の国際基準)
低栄養を診断するために国際的に合意された基準である。体重減少や筋肉量減少などの所見と、食事摂取量の低下や疾患による炎症といった要因を組み合わせて判定する。
IVRO(下顎枝垂直骨切り術)
下あごの枝を垂直方向に骨切りする術式。主に下あごを後方へ移動させる場合などに用いられる。
Le Fort I 型骨切り術
上あごを水平に骨切りし、前後・上下・左右方向へ移動させる術式。
Le Fort III型骨切り術(ルフォー3型こつきりじゅつ)
上顎・頬骨・鼻を含む中顔面全体を頭蓋から分離して移動させる術式で、頭蓋顔面分離術とも呼ばれる。症候群性の頭蓋顔面の形態異常などで検討される、専門施設で行われる侵襲の大きい手術である。
Le Fort II型骨切り術(ルフォー2型こつきりじゅつ)
鼻根部から眼窩下縁を通り上顎に至る骨切り線で、鼻と上顎を一塊として移動させる術式である。鼻を含む中顔面中央部の後退がみられる症例などで検討され、適応は歯科医師・医師が診査結果に基づいて判断する。
OHAT(口腔アセスメントツール)
口唇、舌、歯肉、義歯、唾液など複数の項目で口腔の状態を評価する簡便な評価票である。歯科以外の職種でも共通の基準で口腔を観察できる。
SBAR(状況・背景・評価・提案)
医療現場で情報を伝える際の報告手順であり、状況、背景、評価、提案の順に整理して伝える。職種間の伝達の行き違いを減らす目的で用いられる。
SSRO(下顎枝矢状分割術)
下あごの枝の部分を矢状方向に分割し、下あごを前後に移動させる代表的な術式。
V-Y縫合(ブイワイほうごう)
口腔内の切開創をV字からY字の形に閉鎖する縫合法である。上唇が薄くなる変化を抑える目的で、上顎の骨切り後の閉創時に用いられることがある。
かかりつけ歯科医
日常的な口腔の管理や相談を継続して担当する歯科医師である。入院や手術の前後には、病院歯科との情報共有の窓口となる。
がん化学療法
抗がん薬を用いてがんを治療する方法である。口腔粘膜、唾液の分泌、免疫の働きに影響が及ぶことがあり、治療前からの口腔管理が勧められている。
がん相談支援センター
がん診療連携拠点病院などに設置され、治療や療養生活の相談を受け付ける窓口である。患者本人だけでなく家族も利用できる。
がん診療連携拠点病院
地域のがん医療の中核を担う病院として国が指定した医療機関である。歯科と連携した口腔管理体制の整備も求められている。
アドバンスメント(前方移動)
あごの骨を前方へ移動させることである。下顎が後退している骨格や、上気道の狭さを伴う症例で検討されることがある。
アラーシンチ縫合
上顎の手術にともなって鼻翼の幅が広がることがあるため、鼻翼基部を内側に寄せるように縫合する処置である。必要性や変化の程度は症例によって異なる。
インパクション(上方移動)
上顎を上方へ移動させることである。笑ったときの歯ぐきの見え方や、顔の縦方向のバランスを考慮して計画されることがある。
オトガイ形成術
あご先の骨を移動・整形し、前後的または垂直的な位置を調整する手術。
オトガイ神経
下歯槽神経がオトガイ孔から出て、下唇とオトガイ部の皮膚・粘膜の感覚を担う神経である。手術や骨の移動によって、一時的あるいは長期に感覚が変わることがある。
オトガイ筋(オトガイきん)
下唇とオトガイ部の皮膚を持ち上げる小さな筋である。オトガイ部の手術では、剥離した後に適切に縫合し直すことが下唇の形態や機能に関わる。
オトガイ舌筋前進術(オトガイぜっきんぜんしんじゅつ)
オトガイ結合の内側にある舌の筋(オトガイ舌筋)の付着部を、小さな骨片ごと前方へ移動させる術式である。舌の根元の後方の空間を広げる目的で行われることがある。
カプノグラフィ(呼気終末二酸化炭素モニタリング)
吐いた息に含まれる二酸化炭素の濃度を波形と数値で連続表示する監視方法である。換気の状態や気管チューブの位置の確認に役立つ。
クリニカルパス(診療計画表)
入院から退院までの検査・処置・食事・リハビリなどの予定を時系列にまとめた計画表である。患者と医療者が見通しを共有するために用いるが、経過に応じて内容が変更されることがある。
サージェリーファーストアプローチ(SFA)
術前矯正を先行させず、先に顎矯正手術を行ってから矯正治療を進める方法。適応は限られ、診断にもとづき判断する。
セットバック(後方移動)
あごの骨を後方へ移動させることである。下顎が前方に出ている骨格に対して計画されることがあり、移動量は診断と術前のシミュレーションに基づいて決められる。
ダウンフラクチャー(上顎骨の下方離断)
上顎の骨切り線をすべて切離したうえで、上顎骨を下方に折り曲げるようにして可動化する操作である。この操作により、上顎骨を目的の位置へ移動できる状態にする。
チタンプレート
骨片どうしを固定するために用いられる、チタン製の小型のプレートである。専用のスクリューで骨に留め、骨が結合するまでの位置の保持を担う。
チタンミニプレート
骨切り後の骨片を固定するために用いる小型のチタン製プレートである。生体になじみやすい材料で、体内に残す場合と、後日取り除く場合がある。
ドレーン(排液管)
手術した部位にたまる血液や浸出液を体外へ導くために、一時的に留置する細い管である。排液量が減った時点で抜去する。
バイタルサイン
体温・脈拍・血圧・呼吸数・酸素飽和度など、全身状態を把握するための基本的な指標である。術後は定期的に測定して経過を確認する。
バッドスプリット(不良分割)
下顎枝を分割する際に、予定した骨切り線とは異なる形で骨が割れてしまう状態である。生じた場合はプレートやスクリュー、骨移植などを追加して対応する。
パルスオキシメータ
指先などに装着し、血液中の酸素飽和度と脈拍を連続して測定する機器である。麻酔中や術後の呼吸状態の監視に広く用いられる。
ビデオ喉頭鏡(ビデオこうとうきょう)
先端のカメラで喉の奥をモニターに映しながら気管挿管を行う器具である。声門が直接見えにくい場合の選択肢の一つとなる。
ピエゾサージェリー(超音波骨切削器具)
超音波の微細な振動で骨を削る器具である。神経や血管などの軟組織を巻き込みにくいとされ、骨切りの一部で用いられることがある。
プレート除去術(抜釘)
骨が十分に癒合した後に、体内に残したプレートやスクリューを取り除く手術である。すべての症例で必要になるわけではなく、症状や希望、方針をふまえて判断される。
ヘモグロビン値(Hb)
血液中で酸素を運ぶたんぱく質の量を示す検査値である。貧血の程度を把握し、術前の状態調整や輸血の要否を検討する際の指標の一つとなる。
マウスプロテクター(気管挿管時)
全身麻酔の気管挿管の際に、上顎前歯などを保護する目的で装着する装置である。矯正装置がある場合や動揺歯がある場合に用いられることがある。
マランパチ分類(Mallampati分類)
口を大きく開けて舌を出したときに見える軟口蓋などの見え方から、気道確保の難しさを推定する視診上の分類である。術前の気道評価で用いられる指標の一つである。
マルチモーダル鎮痛(多角的鎮痛)
作用の仕組みが異なる複数の鎮痛薬や方法を組み合わせ、痛みをやわらげながら副作用を抑えることを目指す考え方である。痛みの感じ方には個人差がある。
ラグスクリュー固定(ラグスクリューこてい)
スクリューを締め込む力で二つの骨片を密着させて固定する方法である。骨片どうしの接触を得やすい部位で選択されることがある。
リフィーディング症候群
長期間の低栄養状態から急に栄養を投与した際に、電解質の異常などが生じる病態である。栄養の開始時は少量から慎重に進める必要がある。
上下顎前方移動術(MMA/じょうげがくぜんぽういどうじゅつ)
上顎と下顎をともに前方へ移動させ、のどの空間を広げることを目的とする術式である。睡眠時の呼吸障害に対する外科的選択肢の一つとして検討されることがあり、適応は医師の診断による。
上顎分節骨切り術(セグメンタルオステオトミー)
上顎骨をいくつかのブロックに分けて動かす術式である。前後のずれに加えて幅や高さの不調和がある場合に、選択肢の一つとして検討されることがある。
上顎前方歯槽部骨切り術(Wassmund法)
上顎の前歯部を歯を含む骨のブロックごと骨切りし、後方や上方へ移動させる術式である。前歯部の位置関係を整える目的で計画されることがあり、移動量や適応は診査に基づき歯科医師が判断する。
上顎前方歯槽骨切り術
上顎前歯を、歯を支える骨ごと移動させる術式である。前歯の突出感が主体の症例で選択肢となることがあり、適応は診査・診断に基づいて歯科医師・口腔外科医が判断する。
上顎後方歯槽部骨切り術(Schuchardt法)
上顎の臼歯部の歯槽部を骨切りし、主に上方へ移動させる術式である。奥歯の位置関係に起因する咬み合わせのずれに対して計画されることがある。
上顎骨上方移動(じょうがくこつじょうほういどう)
骨切りした上顎骨を上方へ移動させ、上あご全体の垂直的な高さを減じる移動様式である。笑ったときの歯ぐきの見え方や顔の縦の長さに関わるため、移動量は術前分析に基づいて計画される。
上顎骨前方移動(じょうがくこつぜんぽういどう)
骨切りした上顎骨を前方へ移動させる移動様式で、上あごの後退がみられる場合などに計画される。移動量が大きい場合は、生じた骨の隙間に骨移植や骨補填材を併用することがある。
下歯槽神経(かしそうしんけい)
下顎神経の枝で、下顎管を通り下顎の歯や歯ぐき、下唇・オトガイ部の感覚を伝える。下顎の骨切りや親知らずの処置では近接するため、術後に感覚の変化が生じることがあり、程度や経過には個人差がある。
下行口蓋動脈(かこうこうがいどうみゃく)
上顎の後方を下行し、口蓋に分布する動脈である。上顎の骨切りの際に近接するため、走行の把握と出血への備えが求められる。
下顎の自動回転(オートローテーション)
上顎を上方や下方へ移動させた結果として、下顎が顎関節を中心に回転し位置を変える現象である。この変化を見込んで顎の移動量が計画される。
下顎前歯部歯槽骨切り術(Köle法)
下顎の前歯部を歯を含む骨のブロックとして骨切りし、上下的・前後的に移動させる術式である。前歯部の位置関係を整える目的で、他の術式と組み合わせて計画されることがある。
下顎枝斜骨切り術(かがくししゃこつきりじゅつ)
下顎枝を斜め方向に骨切りして骨片を移動させる術式である。骨切り線の走行や到達経路の違いにより、他の下顎枝の術式とは特徴が異なる。
下顎正中骨切り術(かがくせいちゅうこつきりじゅつ)
下顎の正中(オトガイの結合部)を縦方向に骨切りし、歯列弓の幅や正中の位置を調整する術式である。前歯の並びや左右のずれの状態に応じて検討される。
下顎骨体部骨切り術(かがくこつたいぶこつきりじゅつ)
下顎の体部(歯の並ぶ部分の骨)で骨切りを行い、前後的あるいは幅径方向に骨片を移動させる術式である。歯の欠損部や抜歯部位を骨切り線に利用することがある。
下顎骨後方移動(かがくこつこうほういどう)
骨切りした下顎骨を後方へ移動させる移動様式で、下あごが前方に出ている咬み合わせに対して計画されることがある。舌の位置や咽頭の空間にも影響しうるため、術前に気道の評価が行われる。
不明熱
一定期間続き、通常の検査では原因が特定できない発熱である。原因検索の一環として、口腔内の感染源が確認されることがある。
両顎手術
上あごと下あごの両方を移動させる手術。前後的・垂直的な不調和が大きい場合などに検討される。
中心静脈栄養(TPN)
太い静脈に留置したカテーテルから輸液を投与し、必要な栄養を血管内から補う方法である。消化管が使えない場合に選択される。
主観的包括的評価(SGA)
体重の変化、食事摂取量、身体所見などを問診と診察から総合的にみて栄養状態を判定する方法である。特別な機器を使わずに実施できる。
予防的抗菌薬投与(よぼうてきこうきんやくとうよ)
手術部位感染の予防を目的として、定められた時期と期間に抗菌薬を投与することである。耐性菌の問題があるため、漫然と長期に続けないことが基本とされる。
人工呼吸器関連肺炎(VAP)
人工呼吸器による管理を開始したあと、一般に48時間以降に発症する肺炎である。口腔内の細菌の関与が指摘されており、口腔ケアが対策の一つとして行われる。
人工関節周囲感染
人工関節の周囲に細菌が感染した状態である。血流を介した細菌の関与が想定される場合があり、手術前に口腔内の感染源を確認することがある。
人工骨(じんこうこつ/骨補填材)
ハイドロキシアパタイトやβ-リン酸三カルシウムなどでつくられた、骨の欠損部を補うための材料である。自家骨と組み合わせて用いられることもある。
仮骨(かこつ)
骨切り部や骨折部に最初に形成される未熟な新生骨組織である。時間の経過とともに成熟した骨へ置き換わっていく。
休薬期間(きゅうやくきかん)
手術に備えて、出血や麻酔に影響しうる薬の服用を一時的に中止する期間である。中止の可否と期間は処方医と麻酔科医が相談して決めるため、自己判断で中断しない。
伝達麻酔(でんたつますい)
神経の走行する部位に局所麻酔薬を作用させ、その神経が支配する範囲の感覚を一時的に鈍らせる方法である。下顎の処置などで用いられる。
低血圧麻酔(ていけつあつますい/調節性低血圧)
麻酔中に血圧を通常よりやや低めに保ち、術野からの出血を抑えることを図る全身管理の方法である。適応の有無は全身状態をふまえて麻酔科医が判断する。
体重減少率
一定期間内にどれだけ体重が減ったかを割合で示した指標である。栄養状態を評価する際の基本的な項目として用いられる。
免疫チェックポイント阻害薬
免疫の働きにかかるブレーキを解除し、がんに対する免疫反応を高める薬である。口腔粘膜を含む全身に、免疫に関連した有害事象が生じることがある。
入退院支援
入院前から退院後の生活を見据えて、多職種が準備や調整を行う取り組みである。手術に向けた口腔の準備もこの流れの中で計画される。
全身麻酔
薬剤によって意識と痛みの感覚を一時的になくし、呼吸を管理した状態で手術を行う方法である。顎矯正手術は全身麻酔下で行われるのが一般的で、方法や適応は麻酔科医が全身状態を評価して決める。
全静脈麻酔(TIVA)
吸入麻酔薬を用いず、静脈から投与する薬剤のみで麻酔状態を維持する方法である。術後の悪心・嘔吐への影響などを考慮して選択されることがある。
冷罨法(れいあんぽう/クーリング)
術後の早い時期に患部を冷やし、腫脹や不快感の軽減を図る処置である。冷やす時間や方法は担当する医療者の指示に従う。
分子標的薬
がんの増殖や血管の新生などに関わる特定の分子を標的として作用する薬である。骨や血管に作用する薬剤では、顎骨への影響に配慮して歯科と連携する。
口腔保湿剤
口腔粘膜の乾燥を和らげる目的で用いるジェル状や液状の製品である。唾液が減っている時期の不快感の軽減に用いられる。
口腔内アプローチ(こうくうないアプローチ)
口の中の粘膜を切開して骨に到達する手術経路である。皮膚を切開しないため顔面に手術創が生じず、顎矯正手術の多くはこの経路で行われる。
口腔内冷却療法(クライオセラピー)
一部の抗がん薬の投与中に氷片などで口腔内を冷やし、粘膜の血流を一時的に減らす方法である。粘膜の傷害を軽くする目的で行われることがある。
口腔清掃自立度(BDR指標)
歯みがき、義歯の着脱、うがいの三つの動作について自立の程度を評価する指標である。介護が必要な方の口腔清掃の支援計画づくりに用いられる。
同種血輸血(どうしゅけつゆけつ)
献血由来など、他者から提供された血液を輸血することである。出血量が多い場合などに検討され、実施するかどうかは医師が判断する。
同種骨(どうしゅこつ)
他者(ドナー)に由来し、処理・保存された移植用の骨材料である。使用の可否や適応は関係法令と各施設の方針に沿って判断される。
吸入麻酔薬(きゅうにゅうますいやく)
呼吸に混ぜて肺から吸収させ、麻酔状態を維持するための薬剤である。投与濃度を調整することで麻酔の深さを管理する。
周術期体温管理(しゅうじゅつきたいおんかんり)
手術中や術後に体温が下がりすぎないよう、加温装置や輸液の温度調整などで体温を保つ管理である。低体温は覚醒の遅れやふるえの原因になりうる。
周術期口腔機能管理
手術の前後に歯石除去やブラッシング指導などで口腔内の細菌を減らし、術後の感染などのリスクを下げることを目指す取り組みである。医科と歯科が連携して行う。
周術期等口腔機能管理(しゅうじゅつきとうこうくうきのうかんり)
手術の前後に歯科が行う口腔清掃や口腔内の炎症のコントロールなどの管理をいう。口腔内の細菌量を減らし、術後の感染性合併症や誤嚥のリスクを下げることを目的として行われる。
周術期(しゅうじゅつき)
手術が決まってから術前・術中・術後を経て回復に至るまでの一連の期間を指す。この期間を通して全身状態と口腔の状態を継続的に管理する考え方を周術期管理という。
呼吸ケアサポートチーム(RST)
人工呼吸器を使用する患者などを対象に、呼吸管理の質を高めるため多職種で回診や支援を行うチームである。口腔の清潔保持も検討事項に含まれる。
呼吸機能検査(スパイロメトリー)
息を吸ったり吐いたりする量や速さを測定し、肺の働きを調べる検査である。全身麻酔を予定する際の全身評価の一つとして行われることがある。
呼吸理学療法(こきゅうりがくりょうほう)
深呼吸や咳の練習、器具を用いた吸気訓練などにより、術後に肺の膨らみを保ち痰の排出を促す方法である。臥床が続く時期の呼吸器合併症の予防を目的とする。
咽頭パック(いんとうパック)
手術中に血液や洗浄液が喉の奥へ流れ込むのを防ぐため、咽頭にガーゼなどを一時的に留置することである。手術終了時に確実に取り出したことを確認する。
回収式自己血輸血(かいしゅうしきじこけつゆけつ)
手術中に出た血液を専用の装置で回収・洗浄し、患者本人へ戻す方法である。術式や想定される出血量によって適応が異なる。
回復室(PACU/麻酔後回復室)
手術直後に、意識・呼吸・循環の状態が落ち着くまで集中的に観察する部屋である。状態を確認したうえで病室へ戻る。
在院日数(ざいいんにっすう)
入院してから退院するまでの日数である。術式や回復の経過、全身状態によって異なり、退院の可否は診察に基づいて判断される。
地域医療連携室
病院内で紹介・逆紹介、転院、退院後の調整などを担当する窓口部門である。診療所と病院をつなぎ、情報のやり取りを円滑にする役割をもつ。
外科的上顎急速拡大(SARPE)
成長が終わり正中口蓋縫合が固くなった症例で、骨に切り込みを入れたうえで装置により上顎の幅を広げる方法である。適応は骨格の状態や年齢などから判断される。
多職種カンファレンス
医師、歯科医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、言語聴覚士などが集まり、患者の状態や方針を共有する会議である。職種ごとの視点を持ち寄り、治療とケアの方向性をそろえる場となる。
多角的鎮痛法(マルチモーダル鎮痛)
作用の異なる複数の鎮痛手段を組み合わせ、個々の薬剤量を抑えながら痛みをやわらげようとする考え方である。痛みの感じ方や必要な鎮痛の程度には個人差がある。
対診
入院中や治療中の患者について、他の診療科に診察や意見を依頼することである。手術前に主治医から歯科へ口腔内の確認を依頼する形が代表的である。
専門的口腔ケア
歯科医師や歯科衛生士が器具や薬剤を用いて行う口腔の清掃と管理である。自分での歯みがきが難しい入院患者などに対して実施される。
強度変調放射線治療(IMRT)
照射する放射線の強さを部位ごとに調整し、腫瘍に線量を集めつつ周囲の正常組織の被曝を抑えることを目指す照射法である。唾液腺の被曝低減を図る際にも用いられる。
弾性ストッキング(だんせいストッキング)
下肢を適度に圧迫して静脈のうっ滞を抑える医療用のストッキングである。周術期の血栓予防として、間欠的空気圧迫法などと併用されることがある。
心電図検査(ECG)
心臓の電気的な活動を波形として記録する検査である。術前検査として、不整脈などの有無を確認する目的で行われる。
感染制御チーム(ICT)
院内での感染の発生や拡大を防ぐため、医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師などで構成されるチームである。院内の状況把握や現場への助言を行う。
手術部位感染(SSI/創部感染)
手術を行った部位やその周囲に生じる感染で、発赤・腫脹・疼痛・排膿などがみられることがある。予防のために術前の口腔清掃、術中の清潔操作、術後の創部管理などが組み合わせて行われる。
抗菌薬適正使用支援チーム(AST)
抗菌薬を使用している患者の治療内容を確認し、薬剤の選択や投与量、期間について主治医へ助言する多職種チームである。
抜管(ばっかん)
麻酔から覚めて自力の呼吸が十分と判断された段階で、気管チューブを抜くことである。口腔や気道の腫れの程度などをみて時期を慎重に見極める。
抜釘(ばってい/プレート除去術)
骨の結合が得られた後に、固定に用いたプレートやスクリューを取り除く二次的な手術である。すべての症例で必要になるわけではなく、実施の要否は経過をふまえて歯科医師・医師が判断する。
挿管困難(そうかんこんなん/困難気道)
解剖学的な特徴などにより、気管挿管やマスク換気に通常より手間を要する状態である。事前に想定される場合は、器具や手順を準備したうえで麻酔に臨む。
摂食嚥下支援チーム
医師、歯科医師、看護師、言語聴覚士、管理栄養士などが協働し、食べる機能の評価と支援を行うチームである。食形態や訓練内容を多職種で検討する。
支持療法
がんそのものへの治療に伴う症状や副作用を和らげ、治療を続けやすくするための治療とケアの総称である。口腔管理も支持療法の一つに位置づけられる。
放射線性う蝕
頭頸部への放射線治療の後に、唾液分泌の低下などを背景として生じやすいう蝕である。歯頸部を中心に広がりやすいとされ、フッ化物の応用や継続的な管理が行われる。
敗血症
感染に対する体の反応が過剰となり、臓器の機能障害を来した重篤な状態である。早期の診断と治療が必要とされる。
早期離床(そうきりしょう)
術後できるだけ早い時期にベッドから起き上がり、座位や歩行を始めることである。呼吸器合併症や血栓の予防、回復の促進を目的とし、開始時期は状態に応じて医師が判断する。
智歯抜去(ちしばっきょ)
親知らず(第三大臼歯)を抜くことをいう。下顎枝の骨切りを予定する場合、骨切り線との位置関係から手術に先立って抜去しておくことがあり、時期は歯科医師が判断する。
有害事象共通用語規準(CTCAE)
がん治療などに伴う有害事象の種類と重症度を、共通の用語と段階で表すための国際的な規準である。多職種が同じ基準で状態を評価できる。
有病者歯科医療
全身疾患をもつ方に対し、病状や服用中の薬を確認しながら全身状態に配慮して行う歯科医療である。必要に応じて医科主治医と連絡を取りながら計画する。
栄養サポートチーム(NST)
医師・歯科医師・管理栄養士・看護師などが連携し、入院中の栄養状態を評価して支援する多職種のチームである。食事量が落ちやすい時期の栄養補給を検討する。
栄養食事指導
管理栄養士が個々の病状や生活に合わせて、食事内容や調理法を具体的に助言する指導である。手術後に噛みにくい時期の食事の工夫にも用いられる。
根尖下骨切り術(こんせんかこつきりじゅつ)
歯根の先端よりも根尖側で歯槽部を骨切りし、複数の歯を歯槽骨ごと移動させる術式の総称である。歯根を傷つけないよう、骨切り線の設計には事前の画像診断が用いられる。
