矯正歯科・顎変形症の用語集
GLOSSARY
顎矯正手術・周術期(2/2)に関する用語75語を掲載しています。用語集の全体は矯正歯科・顎変形症の用語集をご覧ください。
梨状孔(りじょうこう)
鼻の入口にあたる、骨で囲まれた洋ナシ形の開口部である。上顎の骨切りでは、この縁が手術操作や計測の目印の一つとなる。
楔状骨切り(けつじょうこつきり)
骨をくさび形に切除して、その分だけ長さや角度を変える骨切りの方法である。オトガイ部や下顎の骨の高さを減じる場合などに用いられる。
歯根間骨切り(しこんかんこつきり)
隣り合う歯の根と根の間で歯槽骨を骨切りする操作である。歯根や歯周組織を傷つけないよう、事前に矯正装置で歯根を離開させておくことがある。
気管チューブ(きかんチューブ)
気道確保のために気管内へ挿入する管である。麻酔器と接続して人工呼吸を行い、酸素や麻酔ガスを送るために用いる。
気管支ファイバースコープ下挿管(きかんしファイバースコープかそうかん)
細い内視鏡で気道の中を直接見ながらチューブを進める挿管方法である。口が開きにくい場合や気道の形態に配慮が必要な場合に選択されることがある。
気道確保(きどうかくほ)
自力での呼吸が十分でない状態でも、空気の通り道を保って換気できるようにすることである。器具を用いる方法や体位の調整などがある。
流動食(りゅうどうしょく)
咀嚼を必要としない液状の食事である。顎の手術の後は開口や咬み合わせの状態に応じて流動食から始め、段階的に通常の食事へ戻していく。
特定機能病院
高度な医療の提供、医療技術の開発、研修の実施などの機能をもつとして国から承認された病院である。顎変形症の外科的矯正治療は、こうした病院の歯科口腔外科と連携して行われることがある。
生体吸収性プレート(せいたいきゅうしゅうせいプレート)
ポリ乳酸などの材料でつくられ、時間の経過とともに体内で分解・吸収されるプレートである。原則として後から除去する手術を要しない一方、強度や適応には特徴があり、材料の選択は術者が判断する。
疼痛スケール(NRS)
痛みの強さを0から10などの数値で自己申告してもらう評価方法である。時間ごとの比較や鎮痛薬の調整の目安として用いる。
病巣感染
体のどこかにある限局した慢性の感染巣が、離れた部位の症状や病態に関与すると考えられる状態である。歯や歯周組織が原病巣として検討されることがある。
病院歯科
総合病院や大学病院の中に置かれた歯科・歯科口腔外科の部門である。入院患者の口腔管理、全身疾患をもつ方の歯科治療、顎矯正手術などの入院手術を担当する。
発熱性好中球減少症
好中球が著しく減少した状態で発熱がみられるものである。重い感染症が隠れている可能性があり、速やかな評価と治療が必要とされる。
移植片対宿主病(GVHD)
造血幹細胞移植の後に、提供者由来の免疫細胞が患者の組織を攻撃することで生じる反応である。口腔では粘膜の変化や乾燥がみられることがある。
筋弛緩モニタリング(きんしかんモニタリング)
末梢神経を電気刺激して筋の反応を測定し、筋弛緩薬の効果がどの程度残っているかを確認する方法である。抜管の時期を判断する材料の一つとなる。
筋弛緩薬(きんしかんやく)
骨格筋の緊張を一時的にゆるめる薬剤である。気管挿管を行いやすくし、手術操作の際に筋の動きを抑える目的で用いる。
経皮的アプローチ(けいひてきアプローチ)
皮膚を切開して骨に到達する手術経路である。視野や器具の操作性が得られる一方、皮膚に瘢痕が残る可能性や神経の走行への配慮が必要となる。
経鼻気管挿管
鼻から気管へチューブを通して気道を確保する方法である。手術中に上下のかみ合わせを確認する必要があるため、顎矯正手術ではこの方法が選ばれることが多い。
緩和ケアチーム
病気に伴う身体的・精神的・社会的なつらさを和らげるため、多職種で対応するチームである。口腔の乾燥や痛みへの対応で歯科が加わることがある。
翼突上顎接合部離断(よくとつじょうがくせつごうぶりだん)
上顎骨の後方が頭蓋側の翼状突起と接している部分を切り離し、上顎を動かせるようにする操作である。周囲に血管が走行するため、慎重な手技と術中の出血管理が求められる。
肺血栓塞栓症(はいけっせんそくせんしょう)
静脈内にできた血の塊が血流に乗って肺の血管を詰まらせる病態である。手術時間が長い場合や臥床が続く場合に起こりうるため、周術期に予防策が講じられる。
腸骨移植(ちょうこついしょく)
骨盤の腸骨から採取した骨を移植する方法である。比較的まとまった量を採取しやすい一方、採取部位に一時的な痛みや歩きにくさが生じることがある。
臓器移植
提供された臓器を移植する治療である。移植後は免疫を抑える薬を用いるため、移植前に口腔内の感染源の有無を確認しておくことが多い。
自家骨移植(じかこついしょく)
患者自身の体の別の部位から採取した骨を、必要な部位へ移植する方法である。骨の欠損部を補う目的で顎矯正手術に併用されることがある。
自己調節鎮痛法(PCA)
患者自身がボタンを押して、あらかじめ設定された範囲で鎮痛薬を追加できる方法である。過量にならないよう、1回量と投与間隔が機器側で制限されている。
菌血症
血液中に細菌が入り込んだ状態である。抜歯などの処置のほか、歯みがきや咀嚼でも一過性に生じることがあると報告されている。
血液培養
血液を採取して細菌の有無や種類を調べる検査である。原因不明の発熱の精査や、抗菌薬を選択する際の判断材料として用いられる。
血液透析
腎機能が低下した際に、機械で血液中の老廃物や余分な水分を除去する治療である。出血傾向や薬の使い方に配慮が必要で、歯科治療は透析の日程を考慮して調整する。
血清アルブミン値
血液中のアルブミンというたんぱく質の濃度である。栄養状態の目安の一つとされるが、炎症や脱水などでも変動するため他の指標と併せて解釈する。
術前検査
手術に備えて行う血液検査・心電図・胸部エックス線検査などの全身の検査である。持病や体質を把握し、麻酔と手術の計画を立てるために行う。
術前矯正
手術に先立ち、手術後に上下の歯が適切に咬み合うよう歯列を整える矯正治療。
術前禁煙指導(じゅつぜんきんえんしどう)
手術前の一定期間、喫煙を控えるよう説明し支援することである。喫煙は呼吸器合併症の起こりやすさや創の治り方に影響するとされ、術前からの禁煙が勧められる。
術前経口補水(じゅつぜんけいこうほすい)
絶飲食に伴う脱水や口渇をやわらげるため、指定された時刻まで決められた飲料を摂取する方法である。実施の可否や飲料の種類は麻酔科医の指示による。
術前絶飲食(じゅつぜんぜついんしょく)
麻酔導入時に胃の内容物が逆流して気管へ入ることを避けるため、手術前の一定時間は飲食を制限することである。制限する時間は施設の基準と患者の状態に応じて指示される。
術前自己血貯血
手術前にあらかじめ自分の血液を採取・保存し、必要に応じて手術中や術後に体へ戻す方法である。出血量が多く見込まれる場合に検討されるが、貧血の有無などにより実施できないことがある。
術後せん妄
手術後に一時的に注意力や意識のまとまりが低下し、混乱や幻覚などがみられる状態である。高齢者で起こりやすく、多職種で予防と対応にあたる。
術後の気道管理
術後は顔面や咽頭の腫れによって気道が狭くなることがあるため、酸素投与・体位の工夫・観察体制によって呼吸の状態を見守る。腫れの程度や経過には個人差がある。
術後の食事管理
術直後は流動食から始め、回復に合わせて軟らかい食事、通常の食事へと段階的に戻していく進め方である。栄養と水分が不足しないよう配慮する。
術後入院管理
術後に、全身状態・出血・腫れ・食事や水分の摂取状況などを確認しながら入院で経過をみることである。入院期間は術式や回復の経過により異なる。
術後悪心・嘔吐(PONV)
麻酔や手術の影響で術後に吐き気や嘔吐が生じることである。起こりやすさには個人差があり、体質や術式をふまえて予防的な薬剤投与などの対応が検討される。
術後矯正
手術後に咬み合わせを緊密に仕上げるために行う矯正治療。
術後肺炎
手術の後に生じる肺炎である。全身麻酔や臥床、嚥下機能の一時的な低下などが関与し、術前からの口腔衛生管理が予防的な取り組みの一つとされている。
術後腫脹(じゅつごしゅちょう)
手術に伴う組織の反応として、顔や口の周囲が一時的に腫れることである。多くは術後数日でピークを迎えてから軽減していくとされるが、程度や期間には個人差がある。
観血的処置
出血を伴う処置の総称であり、抜歯や歯周外科手術などが該当する。抗血栓薬を服用している場合は、医科主治医と情報を共有したうえで計画する。
観血的動脈圧モニタリング(かんけつてきどうみゃくあつモニタリング)
動脈に細いカテーテルを留置し、血圧を拍動ごとに連続測定する方法である。出血が想定される手術や、血圧を細かく調整する管理を行う際に用いられることがある。
調節性低血圧(低血圧麻酔)
麻酔中に血圧を通常よりやや低めに保ち、手術部位からの出血を抑えることを目的とした管理法である。実施できるかどうかは、持病や全身状態をふまえて麻酔科医が判断する。
貯血式自己血輸血(ちょけつしきじこけつゆけつ/自己血貯血)
手術前にあらかじめ自分の血液を採取・保存しておき、術中や術後に必要が生じた際に本人へ戻す方法である。適応や採血量は術式と全身状態をふまえて医師が判断する。
超音波骨切削装置(ピエゾサージェリー)
超音波の微細な振動を利用して骨を削る器具である。神経や粘膜などの軟組織を巻き込みにくい特性があるとされ、部位や目的に応じて従来の器具と使い分けられる。
輸液管理(ゆえきかんり)
点滴によって水分と電解質を補い、循環の状態や尿量を保つ管理である。絶飲食中や出血がある状況では、必要量を経過に応じて調整する。
近位骨片・遠位骨片(きんいこっぺん・えんいこっぺん)
下顎枝の骨切りで分けられた骨片の呼び方で、顎関節側を近位骨片、歯列側を遠位骨片という。両者の位置関係をどう設定するかが、術後の咬み合わせや関節の状態に関わる。
逆L字型骨切り術(ぎゃくエルじがたこつきりじゅつ)
下顎枝を逆さのL字型に骨切りする術式で、生じた骨の隙間に骨移植を併用することが多い。下顎枝の高さが不足する症例や非対称症例などで検討される。
造血幹細胞移植
血液細胞のもとになる造血幹細胞を移植する治療である。移植前の処置や免疫抑制の影響で、口腔の感染や粘膜の症状が生じやすくなる。
開口保持器
口腔ケアや処置の間、口を開けた状態を保つために用いる器具である。自分で開口を保つことが難しい方に対し、無理のない範囲で使用する。
開口訓練
手術や固定の影響で口が開きにくくなった状態に対し、段階的に開口量を回復させていく練習である。開始時期や方法は担当医の指示に従って進める。
障害者歯科
心身の障害により通常の方法では歯科治療を受けにくい方を対象とした歯科医療の分野である。本人の状態に合わせた対応方法や環境調整を組み合わせて行う。
集中治療室(ICU)
重症の患者を集中的に管理する病棟である。大きな手術の直後に一時的に管理されることがあり、口腔の清掃も看護と歯科が協働して行う。
静脈内鎮静法(じょうみゃくないちんせいほう)
静脈から鎮静薬を投与し、うとうとした状態で処置を受けられるようにする方法である。自発呼吸を保った状態で行う点が全身麻酔と異なる。
静脈血栓塞栓症(VTE)の予防
術後に下肢などの静脈にできた血栓が肺の血管に流れて詰まる合併症を防ぐための対策である。弾性ストッキング、間欠的空気圧迫装置、早期離床などが用いられる。
頭頸部がん
口腔、咽頭、喉頭、鼻・副鼻腔、唾液腺などに生じるがんの総称である。治療の内容によって口腔の状態が変化することがあり、歯科の関与が重要となる。
顎矯正手術
あごの骨を計画した位置に移動させる手術。全身麻酔下で、入院設備のある医療機関において行われる。
顎裂部骨移植(がくれつぶこついしょく)
唇顎口蓋裂にみられる上顎の骨の裂け目(顎裂)に骨を移植し、歯を支える骨の連続性の回復をはかる処置である。実施時期は歯の萌出状況などをふまえて計画される。
顎間固定
術後に上下のあごの位置関係を保つため、一定期間あごの動きを制限する処置。方法や期間は術式により異なる。
顎骨の回転移動(がっこつのかいてんいどう)
顎の骨を前後や上下に平行移動させるだけでなく、咬合平面の傾きを変えるように回転させて位置づける移動様式である。横顔の輪郭やあごの位置に影響するため、術前の三次元的な計画で検討される。
顔面神経下顎縁枝(がんめんしんけいかがくえんし)
下顎の縁に沿って走る顔面神経の枝で、口角や下唇を動かす筋を支配する。皮膚を切開する経路の手術では、この枝への配慮が必要となる。
食形態(しょくけいたい)
食べ物の固さや形状の段階を表す言葉である。術後は流動食、軟らかい食事、通常食といった段階を経て移行し、進め方は回復の経過によって異なる。
骨延長術(仮骨延長法)
骨を切ったあとに専用の装置で少しずつ離し、その隙間にできる新生骨で長さや幅を得る方法である。移動量が大きい場合や成長期の症例で検討されることがある。
骨接合用スクリュー
プレートを骨に留めたり、骨片同士を直接固定したりするために用いるねじである。材質・太さ・本数は、術式や必要な固定の強さに応じて選ばれる。
骨癒合不全(偽関節)
骨切りを行った部分が予定どおりに骨で連結せず、わずかな動きが残る状態である。感染や固定の不安定さが関係することがあり、必要に応じて再固定などの対応が検討される。
骨癒合(こつゆごう)
骨切りや骨折によって離れた骨片が、新しい骨によって連続した状態になることをいう。癒合に要する期間には部位差・個人差がある。
骨膜下剥離(こつまくかはくり)
骨の表面を覆う骨膜の下で軟組織を持ち上げ、骨面を露出させる操作である。骨への血液供給や術後の治癒に関わるため、剥離の範囲は必要最小限にとどめる考え方がとられる。
骨転移
がんが骨に転移した状態である。骨に作用する薬が使われることがあり、顎骨の合併症を避けるため事前に歯科での評価が行われる。
骨髄抑制
治療の影響で白血球、赤血球、血小板などが減少する状態である。感染や出血のリスクが高まるため、歯科処置の時期は血液検査の値をみて調整する。
麻酔深度モニタリング(BIS)
脳波を解析した数値などをもとに、麻酔の深さの目安を連続的に示す監視方法である。ほかの所見と併せて麻酔科医が薬剤量の調整に用いる。
麻酔科術前診察(ますいかじゅつぜんしんさつ)
手術前に麻酔科医が既往歴・服薬内容・検査結果などを確認し、麻酔の計画を立てるために行う診察である。気道の状態や合併症の起こりやすさを評価し、麻酔方法について患者へ説明する。
鼻翼基部縫縮術(アラーシンチ縫合)
上顎の手術で剥離した鼻の付け根(鼻翼基部)の軟組織を縫い寄せ、鼻幅が広がる変化を抑える目的で行う縫合手技である。変化の程度には個人差がある。
