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2026.09.07
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第5回日本デジタル矯正歯科学会でシンポジスト登壇|顎変形症治療とXR・3Dクローン・AI
ミライズ矯正歯科南青山の富田大介です。2026年9月6日(日)、JPタワー名古屋 ホール&カンファレンスで開催された「第5回 日本デジタル矯正歯科学会 学術大会」に、シンポジストとして登壇しました。
演題は「顎変形症治療の未来を拓くデジタルデータ統合 ― XR・3Dクローンフェイスモデル・AIへの展開 ―」です。会場では3DクローンやAI新プロジェクトの先行展示も行い、多くの先生方からお声がけいただきました。大学の先生方との交流が深まり、企業の方々とも今後に向けた意見交換が進んだ、実りのある一日でした。
今回お伝えしたかったのは、歯科医療のデジタル化を、患者さんの理解、医療チームの連携、そして次世代の医療者教育にどう結びつけるかということです。発表内容を、研究・開発の現在地とともに詳しくご紹介します。
- CBCT・口腔内スキャン・顔貌スキャンの統合を、顎変形症治療の情報共有の土台として紹介しました。
- XRによる立体的な可視化と、触れて学べる3Dクローンフェイスモデルへの展開を発表しました。
- Mirai Hub、AIカルテ、3D Faceシミュレータなど、臨床課題から生まれた開発を紹介しました。
- 3Dクローンは初期プロトタイプです。精度・教育効果などの検証を進め、大学・企業との対話を今後の研究につなげていきます。
第5回日本デジタル矯正歯科学会で発表したこと
大会テーマは「デジタル矯正の深化 ~AIが臨床を支え、臨床がAIを導く その共進化が矯正の未来を創る~」。AIと臨床の関係を考える大会の中で、私たちは日々の診療から生まれた課題と、その解決に向けた取り組みを発表しました。
今回の講演は、データ統合、XR、3Dクローン、AIをつなぐ構成です。これらは別々の技術に見えますが、共通する出発点は「診療に必要な情報を、患者さん一人ひとりのために使える形にする」という臨床上の課題にあります。
- 大会:第5回 日本デジタル矯正歯科学会 学術大会
- 開催日:2026年9月6日(日)
- 会場:JPタワー名古屋 ホール&カンファレンス(ハイブリッド開催)
- 登壇者:富田大介/ミライズウェルメディカルグループ代表・統括院長、株式会社MEDiDENT代表取締役CEO
- 演題:顎変形症治療の未来を拓くデジタルデータ統合 ― XR・3Dクローンフェイスモデル・AIへの展開 ―
開催情報は日本デジタル矯正歯科学会の公式案内もご参照ください。
顎変形症治療で「データ統合」が重要な理由
顎変形症の診療では、歯並びと噛み合わせに加え、顎の骨格や顔の軟組織との関係を確認します。矯正歯科医と外科医が治療方針を相談するとき、同じ患者さんの情報を共通の見方で把握できることが重要です。
ところが、骨格はCT、歯列は口腔内スキャン、顔貌は写真や顔面スキャンと、情報の形式や保存場所が分かれがちです。一つひとつがデジタルになっていても、その関係を人が頭の中で組み立て直す必要があります。講演では、この情報の分断を臨床の課題として取り上げました。
骨格・歯列・軟組織を共通の座標で理解する
- CBCT・CT:顎顔面の骨格情報を把握します。
- 口腔内スキャン:歯列の形状や咬合の情報を取得します。
- 顔貌スキャン:顔の表面形状を三次元で捉えます。
これらの位置を合わせ、必要な組織を分け、統合することで、骨格と歯列、顔貌の関係を一つのモデルで確認することを目指します。画像を集めるだけではなく、取得から位置合わせ、共有までの手順を整えることが大切です。位置合わせの誤差やデータの品質は、引き続き確認すべき課題です。
患者さんにとっては、「歯と顎の位置はどう関係しているのか」「なぜこの治療方針を検討するのか」を理解するための説明につながります。詳しい診療内容は、当院の医師・スタッフ紹介や、サイト内の顎変形症・外科矯正の案内とあわせてご覧ください。
XRで、医療チームと患者さんが立体情報を共有する
XRは、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)などを含む呼び方です。講演では、統合した顎顔面データを立体的に表示し、医療チームで検討したり、スタッフ教育や患者説明に活用したりする取り組みを紹介しました。
例えば、画面上の平面画像を見比べる場面でも、三次元モデルなら観察する方向を変えながら、構造の関係を共有できます。矯正歯科・外科・技工など、異なる専門性を持つ人が同じ情報について話せる環境を整えることが狙いです。
一方、立体的に表示できることと、診断の正しさや治療結果が保証されることは同じではありません。画像の読み取り、検査所見との照合、治療方針の判断は医療者が行います。技術が説明や検討のどの場面で役立つかを、実際の運用を通じて確かめていきます。
3Dクローンフェイスモデルとは?「触れて学ぶ」医療教育へ
3Dクローンフェイスモデルは、骨・歯列・皮膚・粘膜などの顎顔面構造を、一体的に再現するために開発している立体モデルです。ここでいう「クローン」は、生物学的な複製ではなく、三次元データをもとに作る患者代替モデルを意味します。
開発では、CT、口腔内スキャン、顔面スキャンを統合し、複数の材料や色を用いる3D造形へつなげます。組織ごとの硬さや質感の違いを表現することで、画像を見て理解する学習に、手で触れて構造を確かめる学習を加えることを目指しています。
実際の患者さんに向き合う前に、繰り返し学べる環境を
医療教育では、解剖の知識と、実際の手技で必要になる感覚を結びつけることが課題です。立体モデルを使って位置関係や操作の手順を繰り返し確認できれば、実患者に依存しないトレーニング環境を広げられる可能性があります。
XRには情報を切り替えたり重ねたりできる特徴があり、実体モデルには触覚を伴って学べる特徴があります。両者を組み合わせ、同じデータを可視化と実体化の双方に活用することが、今回の発表の柱の一つでした。
現在は初期プロトタイプ。検証すべき4つの項目
現段階の3Dクローンは教育用患者代替モデルの初期プロトタイプで、術前シミュレーションへの直接使用は今後の課題です。講演でも、技術の可能性と、これから検証する項目を明確にしました。
- 寸法精度:元のデータと造形したモデルに、どの程度の差があるか。
- 材料特性:硬さ、弾性、切削時の感触などを、どのように評価するか。
- 教育効果:理解度や技能、学習に必要な時間にどのような変化があるか。
- 運用性:作製時間、費用、情報管理を含め、教育現場で継続して使えるか。
今後は、出血反応、体温、顎運動などを模擬するモデルや、手技を解析して学習者へフィードバックするAIとの統合も研究・開発のテーマです。これらは試作・将来構想を含み、すべてが完成した機能ではありません。
これまでの研究報告については、第36回日本顎変形症学会での3Dクローン技術の発表記事もご覧ください。
歯科のAI活用は、日々の診療で感じる課題から
今回のもう一つのテーマは、AIを矯正歯科の臨床や院内業務とどう結びつけるかです。予約、診療記録、画像、会計が別々の仕組みで動くと、検索や転記、確認に多くの手間がかかります。こうした作業を整理し、医療者が診断と患者さんへの説明に注力できる時間を確保することを目指しています。
Mirai Hub:分散した情報へアクセスするための基盤
講演では、予約・診療記録・画像・文書など、分散した情報を扱うための院内基盤としてMirai Hubを紹介しました。患者さんごとの情報を確認しやすくすることや、検索・要約を支援することを目指す取り組みです。発表時点では試験運用を進め、ローンチを準備している段階として紹介しています。
AIカルテ:下書きを支援し、医療者が確認する
AIカルテは、診療中の会話などをもとに、歯科・矯正の用語を踏まえて診療記録の下書きを作成する取り組みです。講演では、自院で使用しながら改善してきた開発経緯と、公開に向けた準備を紹介しました。
重要なのは、AIの出力を医療者が確認・修正し、承認する手順です。AIには聞き取り違いや、事実と異なる文章を生成する可能性があります。録音時の同意や情報の取り扱いを含め、診療に適した運用を整える必要があります。
3D Faceシミュレータ:説明のための予測イメージ
3D Faceシミュレータは、顔のスキャンや計画の情報をもとに、変化のイメージを患者さんと共有するための展示デモとして紹介しました。予測画像は説明のための目安であり、実際の顔貌変化や治療結果を保証するものではありません。患者さんの期待と医学的な判断を丁寧にすり合わせるための補助として検証していきます。
会場での反響と、大学・企業との連携の深まり
会場では、金澤学教授(東京科学大学)、岡藤範正教授(松本歯科大学)、Dr. Tao Guoをはじめ、先生方と交流する機会にも恵まれました。それぞれの現場の視点に触れることが、今後の研究や技術開発を考えるうえでも刺激になりました。
発表後や展示の場では、多くの先生方からお声がけいただきました。日々の臨床に取り組む先生方との対話を通じ、今回紹介した技術に関心を寄せていただけたことを実感しています。
大学の先生方との交流が深まり、企業の方々とも今後につながる意見交換ができました。臨床の現場だけでは解決できない課題にも、研究の視点、工学や素材の知見、教育現場の経験を持ち寄ることで、新しい検証の道筋が生まれると感じています。
私たちが次につなげたいのは、技術への関心を、具体的な評価方法や継続できる教育の仕組みにしていくことです。連携の具体的な内容は、今後の協議・検証の進展に応じてお知らせします。
日本発の臨床教育を、世界へつなぐ
講演では、MIRISE Global Academyを通じた国際臨床教育の取り組みも紹介しました。海外の医療者や学生とデジタルワークフロー、XR、3Dクローンなどを共有し、現場で得られる知見を開発に戻していくことを目指しています。
2026年8月には、トルコからの参加者を含む3日間の国際臨床研修を実施しました。今回の学会で深まった国内の先生方や企業との交流も、教育・研究の継続的な発展につなげていきたいと考えています。
学会から感謝状をいただきました
今回の登壇に際し、日本デジタル矯正歯科学会より感謝状(Certificate of Appreciation)をいただきました。発表の機会をくださった大会関係者の皆さま、講演や展示に足を運んでくださった皆さまに、心より御礼申し上げます。
患者さんへ還元するために、臨床と研究を続ける
新しい機器やAIを導入する際、私たちが考えるのは「患者さんの理解や診療のために、どの場面で役立つのか」です。データを共有しやすくすること、説明を分かりやすくすること、医療者が学び続ける環境を作ること。その積み重ねを大切にしています。
南青山・表参道で矯正歯科や顎変形症について相談をご検討の方には、お悩みと検査結果に基づき、治療の選択肢をご説明します。研究開発中の技術の紹介と、患者さんごとに適応を判断する実際の診療を区別し、丁寧にお伝えしていきます。
よくある質問
デジタル矯正とは、マウスピース矯正のことですか?
今回の講演で扱ったデジタル技術は、特定の矯正装置に限りません。検査データの統合、情報共有、患者説明、教育、診療記録の支援など、診療を支える幅広い取り組みを紹介しました。
3Dクローンは、すでにすべての患者さんの手術に使われていますか?
いいえ。今回紹介したモデルは、教育用患者代替モデルの初期プロトタイプです。術前シミュレーションへの直接使用や教育効果・精度の評価は、今後の検証課題です。
AIが診断や治療方針を決めるのですか?
今回紹介したAI活用は、情報の整理や記録の下書き、説明の支援などを目的としています。診断や治療方針の判断は医療者が行い、AIの出力も確認・修正することを前提としています。
顔のシミュレーションどおりの結果になりますか?
予測イメージは目安であり、実際の治療結果を保証しません。軟組織の変化には不確実性があるため、医療者から限界も含めて説明することが重要です。
研究や技術開発について相談できますか?
大学・医療機関・企業の皆さまからの研究、教育、技術開発に関するご相談は、当院へお問い合わせください。内容を伺い、担当部門への取り次ぎを行います。
発表者:富田大介(ミライズウェルメディカルグループ代表・統括院長/ミライズ矯正歯科南青山)
記事の根拠:2026年9月6日学術大会の講演資料および登壇者による当日の報告。研究・製品の開発状況は発表時点のものです。
利益相反に関する補足:富田大介は株式会社MEDiDENT代表取締役であり、紹介した3DクローンおよびAIシステムの開発・臨床教育事業に関係しています。3Dクローンの設計・造形では株式会社日南の技術協力を受けています。
ミライズ矯正歯科南青山
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